モバイルPASMOより、PASMOカードやモバイルSuicaがおすすめの人とは
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2020年3月18日から「モバイルPASMO」がリリースされました。関東の私鉄定期券ユーザーのあいだで話題です。
モバイルPASMOとは、交通系ICカードPASMOの機能をスマートフォンで利用できるサービスです。スマホをかざすだけで改札を通れるようになります。
すでに多くの人が使う「モバイルSuica」は、私鉄や地下鉄にも乗れるものの、定期券はJRにしか対応していませんでした。モバイルPASMOの登場によって、私鉄や地下鉄、バスの定期券もカードレスになります。
しかし、人によっては従来のPASMOカードやモバイルSuicaのほうが向いている人もいます。それぞれの違いを比較しました。
目次
モバイルPASMOの使い方
モバイルPASMOの使い方は、モバイルSuicaとほぼ同じです。
モバイルPASMOアプリをスマホにインストールすると、モバイルSuicaと同じくスマホを改札にかざすだけで通れるようになります。年会費などはいっさいかかりません。
都度アプリを立ち上げる必要はありません。ロック解除前でも、スマホをかざせば読み取れます。
チャージ方法
モバイルPASMOは、クレジットカードでのチャージが基本です。
あらかじめクレジットカードを登録し、チャージしてから使うプリペイド方式(前払方式)です。一部のクレジットカードは、オートチャージにも対応しています。
※ただし、クレジットカード機能がついたPASMOカード「一体型PASMO」は、モバイルPASMOのオートチャージに登録できません。
クレジットカードを持っていない人は、駅のチャージ端末などで現金チャージも可能です。
モバイルSuicaは、コンビニのレジやセブン銀行ATMでもチャージできます。特に、セブン銀行ATMですぐにチャージできるのは便利です。
モバイルPASMOもATMでチャージできるようになると、クレジットカードを持っていない人も使いやすくなりそうです。
ちなみにモバイルSuicaは、デビットカードや一部のプリペイドカードでもチャージ可能です。モバイルPASMOでもこれらが使えるようになれば、クレジットカードを持っていない人もスマホからチャージできるようになります。
たとえばモバイルSuicaは、現金チャージできるカード「Kyash」や、「au PAY プリペイドカード」などを登録できます。
全国の交通機関で利用できる
モバイルPASMOはPASMOカードと同じく、全国のJRや主要な私鉄は、問題なく使えます。
2012年から、主要な交通系ICカードは全国相互利用できるようになっています。以下の交通系ICカードが使えるエリアでは、どのICカードでも改札を通れます。
■全国相互利用できる交通系ICカード
- PASMO(パスモ)
- Suica(JR東日本)
- Kitaca(JR北海道)
- manaca(名古屋交通開発機構)
- TOICA(JR東海)
- PiTaPa(スルッとKANSAI)
- ICOCA(JR西日本)
- はやかけん(福岡市交通局)
- nimoca(ニモカ)
- SUGOCA(JR九州)
ただし、各鉄道会社のエリアをまたいでの利用(いわゆる「エリアまたぎ」)はできない場合があります。
例:JR東日本の駅から乗り、JR東海の駅で降りるなど。
定期券として使える
モバイルPASMOは定期券として利用できます。財布やパスケースを出さずに、改札でスマホをかざすだけで通勤・通学できるようになります。
定期券の購入もスマホで行います。モバイルSuicaのように、管理画面から定期の新規購入や継続購入の手続きができると思われます。
▼参考:モバイルSuica 定期券の購入画面
今までICカードの定期券を買うために、駅の窓口や発売機に並んでいた人は、通勤中などのスキマ時間で定期購入できるようになり便利です。
定期券を使わなくなった場合の払い戻しも、スマホで完結します。
モバイルPASMOで定期券を購入するには、クレジットカード登録が必要です。現金チャージのみでは購入できません。
電子マネーとして買い物に使える
モバイルPASMOは、交通系電子マネーが使えるお店での買い物にも使えます。
改札でスマホをかざすのと同じように、レジ横にある決済端末へスマホをかざすだけで支払いが完了します。
セブンイレブンやローソン、ファミリーマートといった主要コンビニは、すべて交通系電子マネーに対応しています。大手ドラッグストアや家電量販店、飲食店でも、電子マネー決済できるお店が増えています。
電車やバスに乗る交通費と、ふだんの買い物の出費をまとめて管理できます。
モバイルSuicaのほうがおすすめの人
モバイルSuicaも、モバイルPASMOと同じ用に使えます。しかし現時点では、モバイルSuicaのほうがメリットが多い印象です。
以下3点のメリットが魅力に感じる人は、モバイルPASMOよりモバイルSuicaが向いています。
すでに定期券を持っている人も、モバイルSuicaの新規登録時に移行できます。モバイルPASMOと同じく、年会費も完全無料です。
ポイントを貯めたい
モバイルSuicaには、JR東日本のポイント還元サービスがあります。モバイルPASMOには、自社のポイント還元制度はありません。
モバイルSuicaでJR東日本の交通機関を利用したり、特定のお店で電子マネー決済すると、JREポイントというポイントが貯まります。
JREポイントは、キャッシュレス決済のなかでもかなり高還元です。関東でJRによく乗る人は活用したいサービスです。
ふだんの移動や買い物で貯まったJREポイントは、1ポイント1円として買い物に使えます。
■モバイルSuica JREポイントの還元率(税別)
利用シーン | 還元金額 | 還元率 |
---|---|---|
JR東日本の鉄道利用・グリーン券や定期券の購入 | 50円につき1ポイント(Suicaカードは200円につき1ポイント) | 2.0%(Suicaカードは0.5%) |
JREポイント加盟店で買い物 | 100円につき1ポイント | 1.0% |
Suica利用可能店で買い物 | 100~200円につき1ポイント | 0.5~1.0% |
JREモールでネット通販 | 100円につき1ポイント | 1.0% |
特に、モバイルSuicaでJR東日本の電車に乗ったときの2.0%還元は、大きなメリットです。JR東日本が発行するクレジットカード「ビューカード」を使うと、さらにSuica還元率を上げることも可能です。
モバイルSuicaがこれだけポイント還元に力を入れている一方、PASMOには独自のポイント還元制度はありません。
2020年6月までは、政府のキャッシュレス・消費者還元事業によるポイントバックがあります。それ以降は、ポイント還元なしで利用することになります。
iPhoneユーザー
モバイルSuicaは、iPhone・Android両方のアプリがあります。対してモバイルPASMOは、リリース時点ではAndroidアプリしかありません。
iPhoneユーザーがスマホで電車に乗るためには、必然的にモバイルSuicaを選ぶことになります。
モバイルPASMOを利用できるのは、おサイフケータイ機能搭載のAndroidスマートフォン(Android6.0 以上)のみです。今後、モバイルPASMOがiPhoneに対応するかは未定とのことです。
PASMOカードのほうがおすすめの人
すでにPASMOカードを使っている人のなかには、モバイルPASMOに移行せずカードを使い続けるほうがよい人もいます。
iPhoneユーザー
すでに述べたとおり、モバイルPASMOはまだAndroidアプリしかありません。iPhoneユーザーは、しばらくPASMOカードを使い続けることになります。
家族にPASMOを貸したい人
家族などでPASMOカードを共有している人は、モバイルPASMOにすると貸し借りができなくなります。
■「記名PASMO」と「無記名PASMO」
PASMOカードには、「記名PASMO」と「無記名PASMO」があります。無記名PASMOは、自分以外の人も使えます。
ただし無記名PASMOは、紛失しても再発行できません。プリペイドカードやiTunes Cardをなくしても、残高が戻ってこないのと似ています。
記名PASMOは、カードを紛失した際に再発行できます。
モバイルPASMOを会員登録なしで利用すれば、無記名PASMOに近い使い方にはなります。会員登録なしのPASMOは、個人情報を登録せずに使えますが、スマホの故障などが起きても再発行できません。
ただし、モバイルPASMOは会員登録しないと、クレジットカードチャージや定期券購入ができません。利用できるチャージ方法は、現金のみです。
モバイルPASMOの利用頻度が増えてきたら、会員登録することをおすすめします。会員登録すれば、スマホの故障時や紛失時の再発行サポートも受けられます。
モバイルPASMOがおすすめの人とは
モバイルSuicaやPASMOカードより、モバイルPASMOのほうが向いている人は、私鉄の定期券を利用中のAndroidスマホユーザーです。
モバイルPASMOでは、私鉄や地下鉄、バスなど19社の路線の定期券を利用できます。JR以外の主要な路線を網羅しているといえます。
私鉄の種類が多い関東では、JRにほとんど乗らない人も多いと思います。通勤でJRを経由せず、今までモバイルSuicaを使えなかった人も、モバイルPASMOでスマホ定期券を使えるようになります。
■モバイルPASMO(一部)
- 小田急電
- 京成電鉄
- 西武鉄道
- 東急電鉄
- 京王電鉄
- 京浜急行電鉄
- 新京成電鉄
- 東武鉄道
- 東京地下鉄
- その他の私鉄、バスなど全19社に対応
JRと私鉄をまたぐ際は、「連絡定期券」を発行できます。連絡定期券は、PASMOとSuicaどちらでも発行できる場合があります。
たとえば、JRの駅から乗ったあとに乗り換え、私鉄の駅で降りる場合は、PASMOでもSuicaでも連絡定期券を使えます。
ふだんJRをよく使うならSuica、私鉄やバスを使う機会が多いならPASMOで定期券を作ると便利です。
JR→私鉄→JRのように、乗り換えはあるものの乗車と下車がJRの場合は、モバイルSuicaでしか定期券を発行できません。
逆に、私鉄→JR→私鉄の場合は、モバイルPASMOの定期券になります。
モバイルSuicaと併用できる機種は限定的
モバイルPASMOがSuicaで利用できる機種は、記事執筆時点では一部に限られます。以下の機種は、アプリインストール後におサイフケータイアプリから、どちらをメイン使いするか設定して使います。
■モバイルPASMOとモバイルSuicaを併用できる機種(2020年3月18日時点)
- Xperia 1
- Xperia 5
- Xperia 8
- Pixel 4
- Pixel 4 XL
- Android One S6
※詳細は公式サイトにてご確認ください
上記以外の機種では、モバイルSuicaがインストールされていると、モバイルPASMOをインストールできません。
関東で私鉄の定期券を使わない人は、現時点ではモバイルSuicaで十分だと思います。
みずほ銀行でも発行できるSuica:
みずほ銀行「MIZUHO Suica」がモバイルSuicaより向いている人とは