定期預金を国債や普通預金の優遇金利と比較してわかったこと
普通預金や定期預金の他に、同じくらい安全に運用できる方法に「個人向け国債」という方法もあります。
個人向け国債は国が発行する債権で、定期預金と同じように利子を受け取ることができます。
円預金も個人向け国債も元本割れすることがないので、外貨預金などに比べると金利は低いものの、多くの日本人が利用しています。
しかし、定期預金の他にも、安全資産としての国債や、ネット銀行が積極的に展開する優遇金利なども存在します。
今回は、本当に安全かつ金利が高い運用先はどこなのか、比較してみます。
目次
定期預金と国債の違いとは
定期預金と個人向け国債は、一定期間預ける(保有する)ことで利子を受け取るという仕組み自体は同じです。
しかし、もう少し詳しく比較すると、下記のように違いがあります。
■定期預金と個人向け国債の特徴を比較
特徴 | 定期預金 | 個人向け国債 |
---|---|---|
申込み先 | 銀行 | 主要銀行、証券会社 |
申込タイミング | いつでもOK | 毎月1回 |
預入期間 | 2週間~10年と幅広い | 3年、5年、10年のみ |
金利タイプ | 申込日の金利で固定 | 3年・5年…申込日の金利で固定 10年…半年に一回の金利見直しあり |
利子の支払い | 満期時 | 半年ごと |
預金可能金額 | 銀行による(1円から可能な銀行も) | 1万円~ |
元本保証 | あり | あり |
中途解約 | 可能 | 可能 |
定期預金はほとんどの銀行が扱っていますが、個人向け国債は銀行以外にも証券会社で購入することができます。
しかし、個人向け国債はすべての銀行で購入できるわけではなく、たとえばネット銀行では取り扱っていません。
手軽に購入したい人は、ネット証券などでWeb申込をするのが良いと思います。
また、定期預金は自分の好きなタイミングで、預入期間も短期から長期まで選べる一方で、個人向け国債は固定3年・固定5年・変動10年の3種類のみです。
変動10年の個人向け国債は半年ごとに金利が見直しされるので、景気が上向いていくと高金利になっていきます。
しかし、もし金利が下がったとしても、個人向け国債の金利は下限が年率0.05%と決まっているので、元本割れが起こりません。
定期預金も元本保証なので、どちらも安心して運用できると言えます。
もしもの時は中途解約ができるのも、定期預金と個人向け国債の共通点です。
■豆知識:債権自体は元本保証ではない
債権は本来、発行元が破綻すると価値がなくなってしまう可能性があるので、元本保証ではありません。
しかし、「国債」の場合は国家が破綻しない限りは価値があるものなので、事実上の安全資産として、代表的な運用先として知られています。
さらに個人向け国債は、金利下限が年0.05%と決まっているので、これ以上金利が下がることもないので安心です。
「新窓販国債」という国債もあるが…
国債の中には、個人向け国債の他に「新窓販国債」というタイプもあります。
わかりやすく言うと、個人向け国債は個人でも法人でも購入できる国債です。
個人向け国債との違いは主に下記4点で、特に新窓販国債の方が金利が高めに設定されていることが多いです。
■新窓販国債の特徴
- 個人向け国債より金利は高いことが多い
- 固定2年・3年・10年から選べる
- 5万円から購入可
- 中途換金できないかわりに市場売却できる
しかし、個人的には個人向け国債の方がメリットが多いと思うので、手軽に国債を始めてみたいという人は個人向け国債の方がおすすめです。
なぜなら、新窓販国債には下記4点のデメリットがあるからです。
■新窓販国債のデメリット
- 窓口まで行く必要がある
- 取扱金融機関が少なめ
- 受け取れる利子は15.315%の税金分が差し引かれる
- 売却には元本割れのリスクがある
まず、新窓販国債はネット申込ができないので、銀行や証券会社の支店に足を運ぶ必要があります。
取扱金融機関も個人向け国債の7割くらいしかないので、いつでもネット申込みができる個人向け国債や定期預金よりやや不便です。
さらに、実際に受け取れる利子は、発表されている金利から15.315%の税金が差し引かれてしまうので、金利で比較する際は要注意です。
また、特に日本人が嫌がるデメリットである、元本割れリスクがある点も大きいです。
新窓販国債は中途換金ができないので、保有期間の間に手放したい時は市場に売却することになります。その際、購入時より市場金利が高くなっていると、受け取る金額が元金を下回る可能性があります。
途中で売却しなくてもすむように余裕資金で購入するか、不安な人は個人向け国債から始めた方が安心だと思います。
定期預金と個人向け国債の金利比較
次に、定期預金と個人向け国債の金利を比較してみます。
まず、定期預金金利の全国平均と個人向け国債の金利を比較すると、個人向け国債の方が高金利です。
しかし、ネット銀行「楽天銀行」の金利も合わせて比較すると、2年定期のみ楽天銀行が一番高金利です。
■定期預金と国債の金利比較(2018年9月5日時点、300万円未満で比較)
種類 | 1年もの | 2年もの | 5年もの |
---|---|---|---|
定期預金(楽天銀行) | 0.03% | 0.17% | 0.04% |
定期預金(全国平均) | 0.011% | 0.011% | 0.014% |
国債 | 0.117% | 0.116% | 0.066% |
このように、銀行によって力を入れている定期預金があったりするので、場合によっては国債より定期預金の方がお得です。
より具体的に、金利を比較してみようと思います。
定期預金(楽天銀行)
定期預金は、満期までお金を預けるという約束をする代わりに高金利で預金できるという預金で、代表的な資産運用方法のひとつです。
今回は、ネット銀行の中で口座開設数が1番多い「楽天銀行」の定期預金金利を見てみます。
上記では、楽天銀行の2年定期が個人向け国債の金利を上回っていましたが、それ以外の預入期間でも、楽天銀行は定期預金の平均金利より高めです。
一般的に、メガバンクよりもネット銀行の方が預金金利は高く、預金期間が長くなるほど金利は上がります。
しかし楽天銀行のように、長期よりも短期の定期預金の方が金利が高い場合もあります。
定期預金はボーナス時期などにキャンペーンを展開している銀行も多いので、タイミングが良ければより高い金利で預けることができます。
定期預金の比較はこちら
最新版!1年定期預金の金利ランキングTOP10
高金利!5年定期預金の利率ランキングTOP10
個人向け国債
国債は、定期預金の満期日にあたる「償還日」が来るまで半年に一度、利息が受け取れます。
定期預金の利払い(利息の支払い)と同じようなイメージです。
たとえば、固定金利0.1%の個人向け国債を100万円購入した場合、半年に一度1,000円の利子を受け取り、償還日になれば元本100万円が返金されます。
国債の金利はこちらでチェックできます。
■国債の金利(2018年9月5日時点)
- 1年国債金利:0.117%
- 3年国債金利:0.100%
- 5年国債金利:0.066%
通常、円の預金金利が国債の金利を上回ることは少ないです。その理由は2つあります。
1つめは、定期預金は元本保証で、国債は元本保証ではないからです。本来なら、運用先のリスクが高まるほど、金利は高くなるのが普通です。
2つめは、銀行は預金などの資金を使って国債などを購入しているからです。
銀行は、個人や法人から集めた預金を使って国債を購入したり、ローンなどの融資を行って利息を回収したりすることで、お金を増やし利益を得ています。
なるべく多くの利息収入を得て、それよりも低い金利で預金者に利息を払わないと赤字になってしまいます。
つまり、金利の高い国債を買っても、国債より高い利息を預金者にバックすると損をしてしまうということです。
以下の図を見るとわかりやすいと思います。
よって、本来は定期預金金利は国債の金利よりも低くなるのが普通です。
「普通預金」の優遇金利がある銀行もおすすめ
今回の比較で、楽天銀行の定期預金を取り上げたのには理由があります。
楽天銀行は、マネーブリッジという普通預金金利の優遇サービスを行っているからです。
マネーブリッジは、楽天銀行と楽天証券の連携によって、普通預金の金利が上がるサービスです。
楽天証券の口座開設や口座管理手数料は無料なので、投資に興味がなくても口座を持っておくだけでマネーブリッジによる優遇が受けられます。
証券口座を一緒に持つだけで、普通預金の金利が定期預金並みに高くなるので非常にお得です。
■普通預金金利(マネーブリッジ)の金利(2018年9月時点)
0.10%
楽天銀行の1年もの定期預金にも匹敵する金利で、国債と比べても3年国債と同水準の高金利です。
普段使っているメインバンクと別に、楽天銀行でマネーブリッジを利用した貯蓄用口座を開設するという使い方も、選ぶ価値があります。
そして、マネーブリッジはあくまで「普通預金」なので、いつでも預け入れや引き出しができるという点も大きなメリットです。
定期預金や国債も、中途解約(国債では中途換金と言います)は可能ですが、本来もらえる利子が大幅に減ってしまいます。
いずれも元本保証なので、元本割れは起こらないものの、利子が受け取れないのであれば長期運用している意味がなくなってしまいます。
楽天銀行と個人向け国債を中途解約した場合、利子は下記の割合で差し引かれます。
■定期預金と国債 中途解約をした場合の利子
- 楽天銀行の定期預金
- 約定利率×5~25%
- 個人向け国債
- 直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685を受渡金額から差し引く
いずれにせよ、定期預金も個人向け国債も中途解約すると、利子はかなり少なくなります。
たとえば、楽天銀行の定期預金を年率0.1%で預けていたら、中途解約すると年率0.005%と、ほぼ利息ゼロになります。
楽天銀行の長期定期預金には負けてしまいますが、入出金の手軽さを考えると、マネーブリッジの優遇金利はメリットが大きいと感じます。
高金利なネット定期・優遇金利も要チェック
本来、「国債 → 定期預金 → 普通預金」の順に金利は低くなっていきますが、ネット銀行の定期預金やマネーブリッジのような優遇金利を比較検討すると、そうとも限りません。
また、普通預金であるマネーブリッジは換金性に優れ、国債や定期預金はやや換金しにくいといった特徴もあります。
金利だけでなく、換金性も含めた総合的な判断で、運用先を選ぶことが大切だと思います。
今回、私もはじめて国債との比較をしてみたのですが、意外な結果となりました。
預金金利に力を入れないネット銀行もあるものの、全国平均で見るとまだまだネット銀行の金利に優位があると感じました。
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