なぜセブン銀行が住宅ローンを取り扱わないのか?その理由を考えてみました
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「住宅ローンもネット銀行で」。
当サイトでも何度かご紹介していますが、ネット銀行の住宅ローンは低金利で人気が高いです。
ネット銀行の多くは住宅ローンサービスを提供しており、主要なビジネスの柱となっています。しかし、セブン銀行は住宅ローンを取り扱っていません。
セブン銀行カードローンは、同社が展開しているサービスとして有名なのですが、実は以前から住宅ローンを取り扱っていませんでした。
なぜセブン銀行が住宅ローンを扱わないのか、その理由を考えてみました。
目次
セブン銀行の住宅ローンについて
セブン銀行は住宅ローンを提供していません。しかし、住宅ローン相談(銀行代理業務)という形で、他社の住宅ローンを紹介するサービスは展開しています。
現在は、ソニー銀行住宅ローンをはじめ、三井住友銀行、埼玉りそな銀行、千葉銀行の4つのローンを紹介し、代理販売を行っています。
しかし、住宅ローン相談は対面による業務なので、ネットサービスではありません。全国のセブン銀行の店舗にて行われているだけです。
ちなみに、セブン銀行のリアル店舗は、首都圏に5店舗、愛知県、福岡県に各1店舗だけにとどまっており、いずれもイトーヨーカドーの店内に設置されています。
住宅ローンの代理販売についても、表立って積極的にやっているわけではないとわかります。
auじぶん銀行や住信SBIも代理販売をしている
セブン銀行と同じく、住宅ローンの代理販売をしているネット銀行が他にもあります。代表例が、auじぶん銀行と住信SBIネット銀行です。
auじぶん銀行もセブン銀行と同じく、自社の住宅ローンは提供していません。親会社となる三菱UFJ銀行の住宅ローンを「auじぶん銀行専用プラン」として販売しています。
住信SBIネット銀行は、「Mr.住宅ローン」という自社商品も展開(※現在新規申込停止中)しています。
SBI北尾社長の話にヒントを得る
住信SBIネット銀行が、
- Mr.住宅ローン(自社商品) ※現在新規申込停止中
- 住宅ローンWEB申込コース
の2種類を取り扱う理由について、SBIホールディングスの北尾社長が言及していました。その理由としては、「住宅ローンの融資残高が大きくなるほどリスクが大きくなる」というものでした。
また、住宅ローンは利用者にお金を貸出し、長期間に渡って返済してもらうことで、「金利収入を得る」ビジネスです。
返済期間が長期に渡るので、銀行にとっては長期の安定収益が得られる一方で、短期的な利益が得にくいデメリットがあります。
一方で、他社の住宅ローンの代理販売をするとメリットが2つあります。
- どれだけ売っても自社でリスクを抱える必要がない
- その都度、販売手数料が得られる(短期的に利益が得やすい)
近年、ネット銀行の利用者はかなり増えました。とはいえ、まだまだ規模の小さいネット銀行にとって、大手銀行の住宅ローンを代理販売することは、都合が良いのです。
セブン銀行が自社で住宅ローンを扱わず、代理販売に徹する理由も同じだと思います。
住宅ローンはサポートが大変そう
その他にも理由はいくつか考えられます。
ネット銀行は原則として対面による住宅ローンの契約を行いません。申込、審査、融資実行まですべてネットと郵送でやりとりする、「ネット完結」が主流です。
つまり、店舗を持たないネット銀行にとって、住宅ローンを取り扱うことは、
- リアル店舗以上の厳格な審査ができる人
- リアル店舗以上のオンラインサポート体制
が必要になるということです。
ネット銀行の住宅ローンは、スカイプを使った24時間サポートなど、対面販売に負けないぐらいのサポート体制をおこなっています。
住宅ローンの業務を回すオペレーションは、決して簡単に準備できるものではないのでしょう。
セブン銀行は住宅ローンをする気がない
そして最もな理由は、セブン銀行は住宅ローンをする気がないことです。
セブン銀行は「ATM」に特化した特殊なネット銀行です。
セブン銀行の決算説明資料を見ても、今後の展開として住宅ローンをやるつもりはまったくなさそうです。。。下記の資料を見ても、あくまでもセブン銀行の強みとなるATMを基盤としたビジネスを展開していくつもりだとわかります。
※平成26年3月期決算説明資料より
セブン銀行が今後最も注力するのは?
セブン銀行が今後どのようにビジネスを展開していくのか、まとめると以下のような流れになります。おそらく、今一番注力しようとしているのは「海外送金サービス」です。
①国内だけでなく、海外でもATMの設置台数を増やしていく
②ATMを使ったサービスを拡大していく
③その代表例がATMでキャッシングできる「カードローン」であり、ATMから海外にお金が送れる「海外送金サービス」である。
セブン銀行の海外送金サービスは、取り扱い件数が順調に拡大しています。
※平成26年3月期決算説明資料より
セブン銀行ATMは12ヶ国の言語に対応しています。就労目的で日本に住んでいる外国人が、現地にお金を送金する時に、セブン銀行ATMは非常にありがたい存在なのです。
セブン銀行の海外送金についてはまた別の機会に書きたいと思います。
まとめ
以上、セブン銀行が住宅ローンを取り扱わない理由について考えました。
現時点ではかろうじて代理販売をしているものの、今後もそれを拡大したり、自社で住宅ローンを開始するつもりはまったくなさそうですね。。。