通帳の必要性を考える 紙通帳の有料化に備えてネットバンキングにするべきか

ATM

2018年に、大手銀行が紙の通帳を有料化を検討していると発表しました。

その後、メガバンク最大手の三菱UFJ銀行は、紙通帳を原則廃止しました。基本はデジタル通帳を利用し、希望者にのみ紙通帳を渡す方針です。

2020年1月には三菱UFJ銀行が、インターネット通帳へ切り替えた人へ1,000円を提供するキャンペーンを発表し、話題となりました。

今後、紙通帳の発行手数料が生まれたり、年会費が必要になる可能性もあると思います。紙通帳ユーザーは、通帳の必要性を考え直す必要があります。

通帳が有料になれば、銀行のネットバンキングサービスを使う人は増えると思います。しかし、ネットバンキングの安全性などに不安を感じる人がいるのも事実です。

今回は、紙通帳からWeb通帳に切り替えるメリット・デメリット、紙通帳の必要性についてまとめてみました。

通帳が有料化しそうな理由

通帳を持つ女性

紙通帳の有料化が検討された背景には、長く続く日本のマイナス金利政策が影響しています。

低金利が続いている影響で、銀行は売上を上げづらくなり、今まで無料で提供していたサービスを有料化するなどの対策を検討している状況です。

銀行が紙通帳を発行すると、印刷などの制作コストだけでなく、印紙税200円も負担する必要があります。紙通帳を減らすことでこれらのコストを削減し、収益改善をねらっていると考えられます。

ちなみに、一部の地方銀行では、すでに紙の通帳を有料にしている銀行もあります。

すでに有料化・値上げしているサービスも

実は、銀行サービスの有料化は、すでに紙通帳以外でも始まっています。

たとえば、紙幣などの両替は、昔は無料でしたが現在は有料になっています。ATM手数料振込手数料も、少しずつ値上がり傾向にあります。

紙通帳に限らず、今まで無料だったサービスが有料になる流れが、銀行全体で少しずつ生まれています。

対して銀行が推奨しているのは、ネットバンキングサービスの利用です。ネットバンキングを使うと、入出金履歴などをスマホやパソコンでいつでも閲覧でき、記帳の手間もなくなります。

ネットバンキングを使うと、ATMや銀行窓口に行かなくても基本的な取引ができます。スキマ時間に銀行の手続きを終えたい、忙しい人にとっても便利です。

ネットバンキングが普及すると、銀行としても運営コスト削減につながります。そのため、銀行はネットバンキングサービスを利用するメリットを多く打ち出しています。

たとえばメガバンクなどの主要な銀行では、ATMよりネットバンキングで振り込んだほうが振込手数料が安くなるケースが多いです(詳しくは後述)。

海外では紙通帳がない銀行も多い

外貨預金

外国では、すでに紙通帳を廃止している銀行が大半です。

口座を持っているだけで口座維持手数料がかかることも、珍しくありません。銀行でお金を預けているだけでは、少しずつ預金が減っていく仕組みです。

しかし欧米では日本以上に、お金を貯める「貯蓄」だけでなく、お金を増やす「投資」が活発です。口座維持手数料で減っていく預貯金だけでなく、投資にも資産分散する人が多くいると考えられます。

日本銀行の調査では、日本とアメリカの貯蓄と投資の割合は正反対でした。

日本とアメリカの貯金・投資の割合

■日本
預金…52.5%
株式・投資信託…14.9%

■アメリカ
預金…13.1%
株式・投資信託…48.0%

(2018年8月14日 日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」家計の金融資産構成より抜粋)

このような国外の状況を考えると、日本でも口座維持手数料が導入される日がくるかもしれません。

紙通帳の必要性とは

通帳を持つ男性

もし紙通帳が有料になったら、ネットバンキングサービスに移行する人はある程度増えると予想できます。

今も若い世代では、ネットバンキングのみを利用している人も多い印象です。しかし、まだ「紙通帳のほうがよい」「紙通帳が好き」という人も多くいます。

■紙通帳は必要だと言う口コミ(一例)

特に多かったのは、以下の意見でした。

■紙通帳派の人に多い意見

  1. 「いざというとき」に困りそう
  2. 取引履歴が見やすく家計管理しやすい
  3. ネットバンキングの不正利用が心配

そこで、紙通帳が有料化してWeb通帳に移行したとして、これらの紙通帳のメリットをカバーできるか調べてみました。

紙通帳とWeb通帳のメリット・デメリット比較

結論からいうと、「紙」というツールにこだわらなければ、ネットバンキングで紙通帳の役割をカバーできます。

ただし、取引履歴の残し方については、やや手間がかかる場合もあります。

Web通帳なら解約時に通帳不要

スマートフォンを操作するビジネスマン

紙通帳がないと「いざというとき」に困りそう、という意見は非常に多い印象です。いざというときの一つは、口座解約です。

通常、銀行口座の解約時には通帳が必要です。しかし、Web通帳へ切り替えているなら、紙通帳を窓口へ持っていかなくても口座解約ができます。

一部の大手銀行では、支店に行かずに口座解約できます。忙しい人も手続きがしやすいです。

■大手銀行4行 ネットバンキング利用時の口座解約のやり方

三菱UFJ銀行
口座解約には来店が必要
キャッシュカード・届出の印鑑・身分証明書を支店へ持参
三井住友銀行
口座解約には来店が必要
キャッシュカード・届出の印鑑・身分証明書を支店へ持参(紙通帳もあれば持っていく)
みずほ銀行
来店不要で解約できる
電話やネットから解約申し込み後、郵送で届く書類に記入
りそな銀行
来店不要で解約できる
りそなマイゲート」というネットバンキングのマイページ「各種変更手続き」から手続き

そもそも通帳を発行しないネット銀行も、ネットから解約手続きできます。

ちなみに、解約する口座に残高がある場合は、本人名義の他行口座への振り込みで出金するケースがほとんどです。

相続手続きのしやすさに差はない

もうひとつ、紙通帳がないと困りそうな「いざというとき」として、相続に関する口コミが多くありました。

たしかに紙通帳があれば、家族も預金残高を確認でき、相続手続きを始められます。インターネット通帳のみだと、本人以外はログインできないため、すぐに残高を確認できません。

しかし、通帳の形態に関係なく、「残高証明書」は発行できます。紙通帳がないと相続できない、ということはありません。

残高証明書の発行には、手数料がかかります。しかし、相続時は紙通帳ではなく、なるべく残高証明書を発行してもらうことをおすすめします。

なぜなら、残高証明書では、同じ銀行の複数の預金口座や、ローン残高などもすべて記載されるからです。

亡くなった家族の紙通帳で相続手続きを進めている最中に、同行の2冊めの通帳が見つかったり、内緒で利用していたローンが発覚したりすると大変です。残高証明書を取れば、そのような事態を防げます。

どのみち残高証明書を発行するなら、紙通帳の有無はどちらでもOKです。

どの銀行の口座を持っているかは、キャッシュカードがあれば確認できます。最近は、自分の保有口座をエンディングノートにまとめる人も増えてきています。

保有口座の発見率を上げる意味では、キャッシュカードだけでなく通帳もあるほうが、見つかりやすいかもしれません。

取引履歴の見やすさは好み

パソコンを操作するシニア男性

取引明細の見やすさは好みによりますが、ネットバンキングでも紙通帳と同じように取引履歴は閲覧できます。

今までは、過去明細の閲覧期間が短い銀行もありました。最近は、閲覧期間を長くする銀行が増えつつあります。

たとえば、三菱UFJ銀行は最長10年、三井住友銀行は最長30年まで、インターネット通帳の明細を閲覧できます。

明細データをダウンロードして印刷しておけば、紙で明細を残すことも可能です。

これが手間だと感じる人や、常に紙ベースで見られるようにしておきたいという人は、紙通帳の方が向いているかもしれません。

ネット上の口コミでは、紙通帳を家計簿代わりに使う人や、紙通帳で貯金をして残高が増えていくのを眺めたいという人が、Web通帳に否定的だった印象です。

ネットバンキングで閲覧できない明細を出力する方法

さらに過去にさかのぼって履歴を確認したい場合は、支店で「取引明細証明書」を発行してもらえます。

一定期間より前にさかのぼって取引明細を出してもらう場合は、手数料が200円前後かかります。定期的に、明細を自分で印刷しておくことをおすすめします。

ネットバンキングのセキュリティは強化されている

セキュリティ

「ネットバンキング安全性が不安だから、紙通帳を使いたい」という口コミも多数見かけました。不正利用などのニュースの影響で、インターネット取引そのものへの不信感がある人もいます。

現在は、ネットバンキングのセキュリティ強化は日々強化されています。主要ネット銀行でも、まだ大きな不正取引トラブルが起きたことはありません。

たとえば、現在は下記のようなセキュリティ対策が進んでいます。

■ネットバンキングのセキュリティ対策例

  • ワンタイムパスワードの導入
  • 通信データの暗号化
  • 一定時間経ったらマイページから自動ログアウト
  • ウイルス対策ソフトの無料配布

特に、どの銀行も力を入れる傾向にあるセキュリティ対策は、ワンタイムパスワードの導入です。今はネットバンキングでの取引で、ワンタイムパスワードを利用するのが主流です。

ワンタイムパスワードとは、使い捨てのパスワードのことです。ワンタイムパスワードは一度使用したり、一定時間経ったりすると使えなくなります。万が一パスワードが第三者に漏れても、不正利用できません。

ネットでの銀行取引時に、ワンタイムパスワードアプリや、トークンなどで都度発行します。

トークンとは

トークンとは、ワンタイムパスワードを発行するための電子カードや電子キーホルダーのことです。

たとえば、日本初のネット銀行「ジャパンネット銀行」は、以下のようなカード型トークンを無料で発行しています。

ジャパンネット銀行のカード型トークン

電源を入れると、電子パネルにワンタイムパスワードが表示される電子カードです。その番号をスマホやパソコンから入力し、認証します。

ワンタイムパスワードアプリの使い方がわからない人は、このようなハードトークンがおすすめです。一部ネット銀行以外に、三菱UFJ銀行や三井住友銀行でも発行しています。

さらに、今はスマホ自体にも生体認証が普及しています。ネットバンキングのログイン方法を生体認証にすれば、スマホを盗まれても第三者はログインできません。

自分に過失がない不正利用被害があった際は、被害額を補償してくれる銀行も多くあります。

紙通帳は紛失リスクがある

紙通帳の最大のデメリットは、盗難や紛失のリスクがあることです。

自宅に大事に保管していても、空き巣に入られれば盗まれる可能性があります。通帳と届出印を同時に盗まれると、あらゆる取引ができてしまい危険です。

銀行の多くは、通帳の再発行に1,000円前後の手数料もかかります。紛失しないよう、厳重に管理する必要があります。

ネットバンキングには、通帳を盗まれたり紛失したりするリスクはありません。

ログインIDとパスワードの管理が大変だと感じる人もいるかもしれませんが、どうしてもIDやパスワードを思い出せない場合は、再発行手続きも可能です。

紙通帳と違い、ネットバンキングのIDやパスワードの再発行は無料です。ネットで手続きできる場合と、郵送などが必要になる場合があります。その点は通帳と同じです。

ネットバンキングのID・パスワードは、第三者が再発行できないよう各銀行で工夫があります。

暗証番号や合言葉など、本人しか知らない情報の入力も求められます。

銀行ではネットバンキングを推奨する動きあり

スマホを持つ男性

まだ通帳は有料化していないものの、メガバンクなど多くの大手銀行では、紙通帳からネットバンキングへの移行をおすすめしています。

冒頭でも少し触れましたが、ATMからネットバンキングから取引をすれば、各種手数料が割引される特典をもらえるサービスは多くの銀行が取り入れています。

試しに、メガバンク最大手の三菱UFJ銀行のネットバンキング「三菱UFJダイレクト」の割引を見てみました。

■三菱UFJ銀行 ネットバンキングの優遇内容(税込)

手数料 ネットバンキング ATM
同行あて振込手数料 0円 0~440円
他行あて振込手数料 0~330円 275~660円

さらに三菱UFJ銀行は、三菱UFJダイレクト利用者の手数料をさらに優遇する「スーパー普通預金」というサービスもあります。

コンビニATMの手数料や振込手数料が無料になるなど、優遇内容はとても大きいです。

これらの手数料優遇を受けるために、ネットバンキングの利用を始める人も多いです。

参考:三菱UFJダイレクトとは?申し込み方法から解約方法までを徹底解説

実際に、ネットバンキングはかなり広まってきている印象があります。Twitterでは、紙通帳は要らないという声も多かったです。

■紙通帳はいらない派の口コミ

実際に私も、現在は紙通帳をほとんど使っていません。

メガバンクの中では三井住友銀行の口座を何年も使っていますが、ネットバンキングのみの利用で通帳や郵送物はありません。

今の時点では、日常生活では不便を感じたことがありません。むしろ、記帳の手間がかからないので楽です。

三井住友銀行でインターネット通帳に切り替えると、コンビニATM手数料が月3回まで無料になる優遇も活用しています。

預金残高をチェックし、お金が貯まってきたから定期預金に移す、などの取引も移動中にスマホで完結できます。

今からネットバンキングを始めておくのもあり

スマホとタブレットを持つ女性

いつか紙通帳が有料になったときに備えて、今からネットバンキングに慣れておくのも手です。自分のメインバンクで始めてもよいですし、ネット銀行を試してみるのもありだと思います。

記事執筆時点では、メガバンクでWeb通帳に切り替えたあと、紙通帳に戻すことも可能です。窓口にキャッシュカード・届出印・本人確認書類を持参すれば、手続きしてもらえます。

大手銀行に関する記事はこちら

この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。元は貯蓄下手だったが、現在は貯金や資産運用を自動化し、着々と資産形成中。メガバンクとネット銀行の使い分け方にはこだわりあり。

より良い情報をお届けするため、一条まつこ がメンテナンスを担当いたしました。(2020年1月21日 更新)

ありがとうございます。

質問・コメントはこちら
コメントを見る ページの先頭へ戻る