Bank Pay・銀行Pay・J-Coin Payの違い 銀行系スマホ決済を制するのはどれ?
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銀行系スマホ決済のBank Pay・銀行Pay・J-Coin Payのわかりにくい違いを解説します。
Bank Payとは、1,000以上の銀行口座を登録できるQRコード決済アプリです。大手スマホ決済に未対応だった地方銀行や、信用金庫でも導入されました。
支払い方法は、PayPayやLINE Payと同じQRコード決済です。チャージの手間はなく、銀行口座の残高から直接支払えます。
しかし、Bank Payが登場する以前から、銀行Payのシステムを使うアプリと、J-Coin Payもありました。これらの違いと、連携予定などについてまとめました。
目次
Bank Payの特徴
Bank Payと他社スマホ決済との共通点は、QRコード決済ができる点です。さらに、他社アプリにないメリットもあります。
■Bank Pay 他社にはないメリット
- メガバンクから地方銀行、信用金庫など、1,000以上の銀行が参加予定
- 銀行Payと提携予定
- 店舗の会員証機能も搭載予定
メガバンクや地銀、信金も参加
Bank Pay最大のメリットは、1,000以上の金融機関の口座を登録できる点です。「オールバンクのスマホ決済サービス」とPRしています。
PayPayやLINE Payは、大手銀行と一部の地方銀行には対応済みです。しかし、信用金庫や労働金庫などは登録できません。
Bank Payなら、信用金庫や労働金庫などの口座も登録可能です。給与受取口座を変更できない人も、メインバンクから直接支払えるキャッシュレス決済です。
Bank Payが幅広い金融機関に対応できる理由は、「J-Debit」運営団体がBank Payを提供するからです。
J-Debitとは、加盟銀行のキャッシュカードでデビット決済できるサービスです。
デビットカードというと、VisaデビットやJCBデビットなど、クレジットカードと同じ国際ブランドが有名です。
J-Debitは、日本電子決済推進機構(JEPPO)という組織が運営する、日本独自のデビット規格です。
JEPPO会員金融機関のキャッシュカードをJ-Debit加盟店で提示すると、デビット決済できます。
■日本電子決済推進機構に所属する金融機関
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- ゆうちょ銀行
- 全国地方銀行協会
- 第二地方銀行協会
- 全国信用金庫協会
- 全国信用協同組合連合会
- 労働金庫連合会
- 農協系統金融機関
J-Debit運営組織には、三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行などの大手銀行から、地方銀行や信用金庫まで、幅広い金融機関が所属しています。
これらの金融機関すべてでBank Payが使えると、銀行のカバー率No.1のスマホ決済サービスになります。
銀行Payと提携予定
Bank Payは、銀行系スマホ決済のシステム「銀行Pay」と、加盟店を相互開放する方針です。
Bank Payと銀行Payの加盟店は、お互いどちらのスマホ決済でも支払えるようになる予定です。
銀行Payとは、GMOペイメントゲートウェイという民間企業がシステムを提供する、銀行系スマホ決済サービスです。ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」と、地方銀行が参画しています。
■銀行Pay 参加金融機関
- ゆうちょ銀行
- 三井住友銀行
- りそなグループ
- 北海道銀行
- 北陸銀行
- 横浜銀行
- 十八親和銀行
- 福岡銀行
- 広島銀行
- 熊本銀行
- 沖縄銀行
銀行Payが使えるお店はまだ少なめですが、全国チェーンをもつ東急ハンズやミニストップなどで利用できます。
■銀行Pay参加金融機関のアプリが使えるお店(一部)
- ミニストップ
- 東急ハンズ
- エディオン
- ウエルシアグループ
- サーティーワンアイスクリーム
お店の会員カード機能も搭載予定
Bank Payは、加盟店の会員証やポイントサービスも使えるようになる予定です。
類似のサービスはLINE Payや楽天ペイにもあります。たとえばLINE Payは、アプリからバーチャルのPontaカードやVポイントカードを発行できます。LINE Payからバーコードを提示すれば、ポイントが貯まります。
Bank Payも同じように、アプリから会員証バーコードなどを提示できるようになると考えられます。
Bank Payの会員証・ポイントサービス機能が普及すると、現金だけでなく、会員証などのカードも持ち歩く必要がなくなります。
Bank Payの使い方
Bank Payを利用するには、まず口座登録が必要です。
トップ画面から「口座登録」をタップし、自分の銀行口座の情報を入力していけば、2~3分で登録が完了します。
通帳を持っている人はあらかじめ用意しておくとスムーズです。
ネットバンキングを利用している人は、銀行のネットバンキングアプリで手続きできます。口座番号やワンタイムパスワードの入力が必要です。
銀行口座は複数登録できます。かならず1口座は「支払口座」として登録しておく必要があります。
▼Bank Pay 銀行口座一覧画面
Bank Payの口座登録が終われば、PayPayやLINE Payと同じ「QRコード決済」で支払えるようになります。
PayPayやLINE Payとの違いは、銀行口座から直接支払う点です。アプリにチャージする手間なく、口座残高分まで支払えます。
銀行系スマホ決済のなかでは、「銀行Pay」も銀行口座から支払うタイプです。
店舗での使い方は、2種類あります。
- 店舗の専用QRコードをアプリで読み取る
- 会計時にQRコードを提示されたら、アプリのカメラ機能を使ってスキャン
- アプリから支払い用バーコードを提示
- 「バーコードの提示をお願いします」と言われたら、アプリから支払い用バーコードを表示して見せる
上記どちらの方法で支払うかは、お店によって異なります。「Bank Pay決済でお願いします」といえば、店員さんから指示をもらえます。
大手の店舗では、こちらが支払い用バーコードを提示するケースが多めです。チェーン店などでは、コード読み取り端末を全店導入済みの場合が多いからです。
中小店舗では、こちらがQRコードを読み取る場合がほとんどです。
QRコード決済は、店舗用QRコードをタブレットやポスターで提示すれば決済できます。多くの小規模店は、はじめは読み取り端末を購入せず、導入コストゼロでスマホ決済を始めます。
深夜は使えないのがデメリット
Bank Payは、銀行によって利用できない時間帯があります。土日の夜間から早朝にかけては、利用できない銀行が多いので注意が必要です。
銀行のシステムメンテナンスにあたる時間帯は、Bank Payも利用できません。
- 三菱UFJ銀行
- 第2土曜日の21:00~翌7:00
- 三井住友銀行
- 日曜日の21:00~翌7:00
- みずほ銀行
- 土曜日の22:00~翌8:00
第1・第4土曜日の3:00~翌5:00 - りそな銀行
- 第2土曜日の23:00~翌8:00
その他の銀行の利用できない時間帯は、「Bank Payサービス利用可能金融機関一覧表(pdf)」を参照
一部の銀行は、Bank Payに口座登録できない時間帯もあります。早朝や深夜にスマホを使う機会が多い人には、不向きかもしれません。
Bank Payの予想
Bank Payの「オールバンク」というメリットは大きいものの、どこまで普及するかは未知数です。
日ごろ、銀行やスマホ決済関連の動向を追っている私が、Bank Payの今後を予想してみました。
キャッシュバックやポイント還元はない
Bank Payは、PayPayのような自社独自のポイント還元はありません。
銀行Pay系アプリでも、一部の地方銀行(福岡銀行や熊本銀行など)しかポイント還元は行っていません。「J-Coin Pay」も、キャッシュバックは行っていません。
すでに高還元のスマホ決済を利用中なら、わざわざBank Payを使わなくてもよいと思います。
特に増税後は、ポイント還元重視の人が増えた印象です。
「ポイント還元より、メインバンクの信用金庫から直接使えるほうが便利」と感じる人は、Bank Payが向いています。
加盟店数が伸び悩む可能性大
Bank Payの課題は、加盟店数をいかに増やすかです。
J-Debitは、Visaなどの国際ブランドのデビットカードに比べて、支払いで使える店舗が圧倒的に少ないのが欠点です。全世界で使えるVisa・JCBと違い、J-Debitは国内45万ヵ所ほどしか使えません。
Bank Payがリリース直後からすべてのJ-Debit加盟店で使えたとしても、現在の店舗数ではけっして便利とはいえません。加盟店の拡大が急務です。加盟店が増えないと、ユーザーも増えないと思います。
最近は、PayPayなど高還元のスマホ決済が浸透しつつあります。キャッシュバックなしの後発スマホ決済がこれらを抑えて普及するには、相当のメリットが必要です。
Bank Payの加盟店は、福岡・福井・三重から始まり、兵庫・山口・熊本・宮崎・大分・鹿児島と拡大しています。
記事執筆時点で、大阪府は582店舗、都内は859店舗となっています。
銀行への信頼度が高い中高年の方には、Bank Payは安心感があるかもしれません。しかし、私自身は中高年のあいだでも、大手スマホ決済の普及を感じています。
PayPayの還元率アップ日には、スマホ決済できるレジのスーパーでシニア世代の人も並び、スマホをかざしています。
個人間送金できれば便利
もしBank Payで個人間送金ができれば、非常に便利です。
スマホ決済の個人間送金とは、同じアプリを使う人同士で、手数料無料で送金できる仕組みです。
現在、主要なスマホ決済アプリは、積極的に個人間送金に対応しています。PayPay、LINE Pay、楽天ペイではすでに導入済みです。
Bank Payも手数料無料で個人間送金ができれば、実質無料で他行宛振込ができるようになります。
特に地方銀行や信用金庫の他行宛振込手数料は、かなり高めです。仕送りなど、頻繁に振込みをする人には相当負担です。この手数料部分をカットできると、Bank Payアプリの利用価値は非常に大きくなります。
もしBank Payで個人間送金できるなら、私は親への仕送りに活用したいと思います。
親がふだん年金を受け取っている信用金庫の口座は、個人間送金できるPayPayやLINE Payに登録できません。そのため、銀行振込するしかありません。
現在は、他行宛振込手数料が無料になるネット銀行から、信用金庫の口座に振り込んでいます。
ただし、Bank Payに個人間送金機能がつくのは、難しいかもしれません。
Bank Payは、銀行Pay系アプリと同じく、銀行口座から直接支払える仕組みです。銀行Payは、個人間送金に未対応です。
現在、個人間送金できるスマホ決済は、大半が残高チャージ方式です。
なお、2022年度中には、個人間送金の新たなサービスがスタートする予定です。
これは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の大手5行が共同で新会社を設立して進めているプロジェクトで、「ことら」といいます。
J-Debitのシステムを活用し、2022年度中のスタートを目指しています。
この5行はBank Payにも参加しています。このことからも、Bank Payに個人間送金機能がつくのを期待するよりも、新たなサービスに注目したほうがいいかもしれません。
将来的にはほかの資金決済サービスとの連携の可能性もあります。
J-Coin Payはどうなる
銀行系スマホ決済には、Bank Pay、銀行Pay系アプリだけでなく、J-Coin Payもあります。
J-Coin Payは、みずほ銀行が運営するスマホ決済アプリです。全国の主要地方銀行が加盟しています。
J-Coin Payには、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は参加していません。口座開設数が多いメガバンク2行が不参加なのは、J-Coin Payのユーザー数が伸び悩む要因のひとつです。
Bank Payや銀行Pay系アプリとの違いは、銀行口座から事前チャージ式で使うところです。どちらかというと、PayPayやLINE Payと近い使い方です。
ファミリーマートやスギ薬局など、全国チェーンの店舗で使えるようになっている点は、Bank Payや銀行Payより先行しています。
記事執筆時点(2022年5月13日)では、ローソンはまだ未対応です。
スーパーの加盟店も少ないため、ふだん使いするにはまだまだ不便です。
J-Coin Payの最大のメリットは、チャージ残高を銀行口座へ無料で払い戻せる点です。
多くのスマホ決済は、チャージしたお金を銀行口座へ出金すると手数料がかかります。たとえばLINE Payは、220円(税込)の手数料が発生します。
J-Coin Payは個人間送金も無料で利用できるため、あらゆるお金の移動がスムーズなアプリです。
銀行Pay参加金融機関のアプリは、チャージ不要で銀行口座から直接支払いですが、個人間送金はできません。
J-Coin Payの詳細はこちら:
みずほ銀行のJ-Coin Payとは ジェイコインのQRコード決済の使い方解説