ゆうちょPayは現金派・東急ユーザーにメリットあり 他のスマホ決済との違いとは
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ゆうちょ銀行が、スマホ決済アプリ「ゆうちょPay」をリリースしました。LINE PayやPayPayなどから、やや遅れての登場です。
ゆうちょPayとは、専用スマホアプリを使ってゆうちょ銀行の口座から直接支払いができるサービスです。
ゆうちょ銀行の口座とスマホがあれば誰でも利用でき、利用者は手数料が一切かかりません。
クレジットカードのような審査や年齢制限もないので、未成年の子供も使えます。
加盟店はまだ少ないですが、今後ゆうちょペイが使えるお店が増えると普及するかもしれません。
目次
ゆうちょPayの仕組み
ゆうちょPayを利用するためには、スマホ以外にゆうちょ銀行の口座が必要です。
ゆうちょダイレクト(ゆうちょ銀行のネットバンキングサービス)に登録していなくてもOKです。入会費や手数料も一切かかりません。
下記の3ステップだけで、ゆうちょペイ支払いができるようになります。
■ゆうちょPay 登録の流れ
- ゆうちょPayアプリをインストール(無料)
- アプリにゆうちょ口座を登録(記号・番号などを入力)
- 登録完了
ゆうちょ銀行のキャッシュカードが手元にあれば、1~3分程度で登録が完了します。
ゆうちょペイのID・パスワードを設定した後は、iPhoneなら顔認証(Face ID)などでかんたんにログインできるようになります。
支払い方法は2種類
ゆうちょPayの使い方は、すでにリリースされているLINE PayやPayPayと同じです。
お店で会計をする時に「ゆうちょペイで」と言えば、下記いずれかの方法で支払いができます。
- バーコード決済
- ゆうちょPayアプリから支払い用バーコードを提示し、お店の読み取り機器でスキャンしてもらう。
- QRコード決済
- 会計時に、お店用のQRコードをゆうちょPayアプリで読み取る。
どちらの支払い方法になるかは、店舗によって異なります。
たとえばコンビニでは、こちらがバーコードを提示して読み取ってもらう「バーコード決済」が多いです。
普段の会計で使うバーコードリーダー(商品バーコードをピッと読み取る機器)を、バーコード決済でもそのまま利用できるからです。
他社のスマホ決済でも、コンビニではバーコードを読み取ってもらうケースがほとんどです。
一方、バーコード読み取り機器がないお店では、こちらが店舗のQRコードを読み取る「QRコード決済」が中心です。レストランなどの飲食店に多いです。
会計時に「ゆうちょペイで」と言い、タブレットなどで「読み取りお願いします」とQRコードを見せられたら、ゆうちょPayアプリでスキャンします。
「銀行Pay」全加盟店で利用できる
ゆうちょPayは、銀行Payというシステムをもとに作られたスマホ決済です。
銀行Payとは、銀行専用のスマホ決済サービスです。GMOペイメントゲートウェイという企業が、複数の銀行に提供しています。
銀行ペイの最大のメリットは、提携している銀行間で連携ができることです。
ゆうちょペイの加盟店ではないお店でも、銀行Payを利用している他行の加盟店ならゆうちょペイで支払えます。
たとえば、横浜銀行の「はまペイ」導入店舗でも、ゆうちょPayアプリで支払いが可能です。
■銀行Pay 参加金融機関(参加予定含む)
- ゆうちょ銀行
- りそなグループ
- 北海道銀行
- 横浜銀行
- 親和銀行
- 福岡銀行
- 広島銀行
- 熊本銀行
- 沖縄銀行
今までの銀行Payは、地方銀行が中心でした。しかし、ゆうちょPayが参入することで加盟店が全国規模になる可能性もあります。
ゆうちょ口座を持っている人は、いつでも使えるようにしておいて損はないと思います。
手持ちの現金が少なかったり、ATMが近くになくてお金が下ろせなかったりした時に役立ちます。
ゆうちょPayのメリット
ゆうちょPayのメリットは、「口座とスマホがあれば誰でも使える」というハードルの低さです。
さらに、ゆうちょ銀行の残高を確認できる、現金が引き出しやすくなるなどの利点もあります。
ゆうちょPayは、スマホ決済アプリでありながら、現金派の人にとっても便利なサービスといえます。
未成年も利用可、審査なし
ゆうちょ銀行の個人口座とスマホを持っていれば、誰でもゆうちょペイを利用できます。
クレジットカードのように審査がないので、年齢や収入の条件もありません。
未成年の子供や、クレジットカードを持てない人も手軽にキャッシュレス決済を始められます。
■クレジットカードを持てない人、審査に通りづらい人(一例)
- 未成年
- 高齢者
- 自己破産などをしてブラックリストに載っている人
- 生活保護受給者
- 非正規雇用
政府が発表している、2020年からのキャッシュレス決済のポイント還元措置に備えたいけど、クレジットカードを持てない人にもおすすめです。
ゆうちょ銀行の残高を確認できる
ゆうちょPayアプリでは、ゆうちょ銀行の口座残高をリアルタイムで表示できます。
アプリのインストール後、かんたんな口座認証手続きをすれば、いつでも残高照会できるようになります。ゆうちょPayを使う前に、残高をすぐにチェックできて便利です。
外出先でお金をおろしたいときも、わざわざATMに寄ったりネットバンキングにログインしたりする必要がなくなりす。
ゆうちょ銀行の「ゆうちょダイレクト残高照会アプリ」は、2020年4月末にサービス終了予定です。
銀行機能も、ゆうちょPayに集約していく方針なのかもしれません。
記事執筆時点では、ゆうちょPayでゆうちょ銀行口座の残高はチェックできますが、こまかい入出金履歴は確認できません。
将来的に、ゆうちょ銀行のネットバンキング機能がゆうちょPayに集約されれば、入出金履歴も見られるようになるかもしれません。
東急の発券機で現金を下ろせる
ゆうちょPayアプリを使うと、東急電鉄の発券機で現金を引き出せるという独自のメリットもあります。
このサービスを、キャッシュアウト機能といいます。
東急ユーザーにとっては、発券機をゆうちょATM代わりに使えるようになるので便利です。
キャッシュカードがなくてもゆうちょPayアプリでお金を下ろせるので、東急ユーザーの人はゆうちょ銀行のキャッシュカードを持ち歩く必要がなくなります。
キャッシュアウトの具体的な使い方は、下記の通りです。
■ゆうちょPay 東急電鉄キャッシュアウトのやり方
- ゆうちょPayアプリで引き出し金額を選択
- 暗証番号を入力
- ゆうちょPayアプリに専用QRコードが表示される
- 東急電鉄の発券機にQRコードをかざす
- 出金
※アプリインストール時点では、キャッシュアウト機能がオフになっています。前もって「設定」の「ご利用上限金額の設定」から、キャッシュアウト設定をオンにしておく必要があります。
使い勝手としては、auじぶん銀行のスマホATM機能に似ています。
auじぶん銀行は、セブン銀行のATMを使うとスマホアプリで現金が引き出せます。
キャッシュカードがなくても入出金ができるようになる、スマホ完結取引の先駆けとも言えるネット銀行です。
病院でも使えるようになる可能性
銀行Payを開発しているGMOペイメントゲートウェイは、銀行ペイを病院の会計にも使えるようにしたいと発表しています。
ゆうちょPayも、いずれは病院の支払いに使えるようになる可能性が高いです。
日本は、現金払いしかできない病院がまだまだ多いです。大きな総合病院ではクレジットカード決済ができるようになってきていますが、スマホ決済の導入までは進んでいない状況です。
ゆうちょペイが多くの病院で使えるようになると、現金を引き出す手間なく治療費が払えるようになるかもしれません。
治療費が思ったより高く「手持ちの現金が足りない」と思った時も、あわてずにゆうちょPayで支払えます。
ゆうちょPayのデメリット
一方、ゆうちょPayにはデメリットもあります。
記事執筆時点でわかっているデメリットは3点あります。
ポイント還元はない
ゆうちょPayは、決済をしてもポイント還元などはありません。
現時点で銀行ペイを導入している銀行は、どこもポイント還元を行っていません。
一方、LINE PayやPayPayなど、銀行以外の企業が提供するスマホ決済の多くはポイント還元があります。
たとえばPayPayは、20%還元キャンペーンを行ったことで有名になりました。通常時も、利用金額の最大3%がキャッシュバックされます。この還元率は、クレジットカードの平均還元率を大きく上回ります。
このような、「スマホ決済をするとお得になる」というメリットは、ゆうちょPayにはありません。
加盟店が少なく、調べづらい
ゆうちょPayが使えるお店は、他のスマホ決済アプリに比べるとまだまだ少数です。
リリース後しばらくして、近くの利用可能店舗を検索する機能はつきました。しかし、LINE PayやPayPayに比べると、まだまだ普及していない印象です。
記事執筆時点で、ゆうちょペイが使えるお店は以下の通りです。現在はドラッグストアや家電量販店がメインで、ようやくコンビニでもセブンイレブンとミニストップで使えるようになりました。
■ゆうちょPayが使えるお店(一部)
- ミニストップ
- セブンイレブン
- ウエルシア薬局グループ
- エディオン
- ヤマダ電機
- ケーズデンキ
- 松屋
- 東急ハンズ
店舗がキャッシュレス決済を導入する際は、加盟店手数料がかかります。ゆうちょPayの加盟店手数料は非公開ですが、スマホ決済の加盟店手数料の相場は売上の3%前後です。
クレジットカードの加盟店手数料に比べると安いものの、この手数料がネックになってキャッシュレス決済を導入できない中小店舗も多いです。
スマホ決済大手のPayPayは、加盟店手数料が無料になるキャンペーンで積極的に店舗網を拡大しています。
クレジットカードは登録できない
ゆうちょPayは原則、ゆうちょ銀行口座と連携して使います。クレジットカードやデビットカードからの支払いはできません。
ゆうちょPayは、支払うと銀行口座から即時引き落としとなります。そのため、口座残高が足りないと支払いができません。
クレジットカード決済できるスマホ決済アプリは、支払い時点で口座残高がなくても支払いができます。スマホ決済の利用額は、クレジットカードの利用代金と一緒に翌月請求となる仕組みです。
ゆうちょPayは現金派の人向け
ゆうちょPayのメリット・デメリットを見ると、どちらかというと現金派の人向けのアプリだという印象でした。
キャッシュレス決済ならではの、ポイント還元やクレジットカード連携といったメリットはないからです。
逆に、スマホ決済のこまかい仕組みが理解しづらい人にとっては、シンプルで使いやすいスマホ決済と言えます。
クレジットカードはお金を使いすぎそうで怖い、ゆうちょ銀行のメイン口座をそのまま使いたいという人にも向いています。
何より、「ゆうちょ銀行のスマホ決済」という安心感も大きいです。
さらに東急電鉄をよく使う人は、発券機がATM代わりに使えるようになるというメリットもあります。
現金を引き出す機会が多い人にとって便利という点でも、ゆうちょPayは現金派の方向けです。
デビットカードも持っておいた方が安心かも
とはいえ、ゆうちょPayはまだまだ使えるお店が少ないのが現状です。現金派の人はゆうちょPayだけでなく、デビットカードも持っておくと安心です。
デビットカードとは、支払いをすると銀行口座から即時引落としになるカードです。
後払いのクレジットカードと違い、口座残高以上の支払いができないのが特徴です。ゆうちょPayに近い使い方ができます。
たとえば、ゆうちょ銀行は「mijica(ミヂカ)」という、デビットカード兼プリペイドカードを発行しています。
ゆうちょ銀行の口座とひも付けて支払えるという点は同じです。けれども、使えるお店はmijicaの方が格段に多いです。
mijicaはVisaカードが使えるほぼ全てのお店で使えます。コンビニやレストランだけでなく、ネットショッピングや海外でのお買い物でも使えます。
利用代金に応じたポイント還元もあるので、キャッシュレス決済としての利便性はゆうちょPayより上です。
カードを持ち歩く必要はありますが、ゆうちょPayが普及するまで持っておくと安心です。
ミヂカの詳細はこちら:
ゆうちょ銀行Visaデビットカードmijica(ミヂカ)が使えない場面とは
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