外貨預金でトルコリラが買えるネット銀行は?金利とリスク・リターンについて
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政策金利の高い「高金利通貨」として、最近注目を集めているのがトルコ共和国の通貨である「トルコリラ」です。
一度旅行に行くと「ハマる」と言われるほど魅力的な観光都市であるトルコですが、高金利であるがゆえに、最近では外貨預金やFXなどの「投資対象」として購入する人も増えています。
トルコリラを取り扱っているネット銀行はまだまだ少ないです。しかし、近年トルコ経済が安定しつつあることや、投資家の注目を浴びていることから、新しく取り扱いを開始する金融機関も増えているのが現状です。
今後、トルコリラの外貨預金を扱う銀行は、より増えると予想します。
トルコリラの特徴
トルコは新興国のため、先進国と比較して経済が不安定です。よって、トルコリラの為替相場も大きく変動することがあり、値動きが激しいです。
輸入相手国がロシア、輸出相手国がドイツやイギリスとなっていることから、トルコリラはEUやロシアの経済に影響を受けやすいのが特徴です。
また、政策金利に直結するインフレも、トルコリラ相場を左右する上で外せない指標です。トルコ経済の状態が急変すると、政策金利も大きく変動する傾向があります。
これはつまり、外貨預金の金利が大きく変動しやすいことを意味します。
残念ながら、トルコリラは「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨)」というあだ名が付けられています。
これは、アメリカのモルガン・スタンレーがFRB(米連邦準備理事会)の量的緩和縮小に伴って下落しやすい脆弱な通貨であるとして名づけた、悪口のようなものです。。。
■フラジャイル・ファイブ
- ブラジルレアル
- インドルピー
- インドネシアルピア
- トルコリラ
- 南アフリカランド
フラジャイル・ファイブはいずれも経常収支が赤字であり、新興国でインフレ率が高い国なので、仕方がありません。
トルコリラへの外貨預金は人気が高まっているものの、このような背景があるため、ハイリスク・ハイリターンな通貨という認識は持っておいた方が良いと思います。
トルコ経済について
トルコは資源に乏しく、どうしても輸入に頼らざるをえない構造になっています。よって、経常収支の赤字が続いています。
トルコが輸出している代表的なものは、衣服などの繊維製品でした。しかし最近では、自動車部品などのような重厚長大産業に力を入れ、経常収支の改善を目指しています。
また、トルコは歴史ある建物などが評価される、観光立国でもあります。毎年2,000万人の旅行客が訪れるトルコでは、観光産業による外貨獲得も中核の一つとなっています。
逆に、輸入しているのはエネルギーなどです。トルコの輸入相手として代表的なのは中国、ドイツ、ロシアです。逆に、輸出国の中心はドイツやイギリスなどのEU加盟国となっています。
順調に輸入産業が成長し、外貨がトルコに流入してくるようであれば、政策金利は下がっていきます。
しかし、外貨がトルコから流出するとなると、政策金利を大幅に引き上げることによって、外貨の呼び戻しを図ることになります。
政策金利の上昇は外貨預金の金利上昇に比例するため、私達にとって好都合と言えます。しかし政策金利を高めると「インフレ懸念」が起こるため、トルコリラ相場が下がることに繋がり、為替差損の影響を受けやすくなります。
実際に、トルコは成長が著しい新興国であるため、インフレが起きやすいです。
2000年頃にはハイパーインフレを経験しており、当時のインフレ率は100%を超えました。簡単に言うと、トルコリラが無価値に近い状態になったということです。
しかし、インフレ率は近年急速に回復しており、現在は10%以下の水準を維持しています。
紙幣と小銭の種類
トルコリラは、英語表記では「TRY」と表されます。
数字の単位で使うときは「TL」を使います。また、補助単位として「クルシュ(Kr):が使われており「1TL = 100Kr」となっています。
トルコリラは紙幣中心の通貨で、紙幣の種類は6種類です。
■トルコリラの紙幣
- 200TL
- 100TL
- 50TL
- 20TL
- 10TL
- 5TL
小銭の種類は6種類で、1TL、50Kr、25Kr、10Kr、5Kr、1Krがあります。
ただし1Kr、5Krはほとんど出回っていません。
トルコリラの長期チャートでわかるリスク
出典:ブルームバーグ
上記は、トルコリラ/円(TRY/JPY)の過去5年間の為替チャートです。(2013年2月~2018年2月)
トルコリラと並んで高金利通貨として人気のある「南アフリカランド」と、世界の基軸通貨である「米ドル」を比較対象とし、5年間の値上がり率・値下がり率を示しています。
- オレンジ:トルコリラ
- 赤:南アフリカランド
- 青:米ドル
このチャートを見るとわかりますが、トルコリラは過去5年間で45%以上も下落しています。
これはつまり、5年間で45%もトルコリラの価値が下がったということであり、言い換えると「5年間の外貨預金で45%の為替差損益が発生した」ことになります。
トルコリラへの外貨預金では、高金利の利息収入が得られますが、為替差損が大きいため、トータルでは儲かったか損したかは微妙なラインです。
このように為替チャートが右肩下がりになっている理由は、前述の通りトルコがインフレリスクや地政学リスクに晒されているためです。
新興国通貨は高金利ですが、長期的に見ると値下がりしやすい傾向にあるハイリスク・ハイリターンな投資であることが、このチャートを見るとわかります。
同じく、南アフリカランドも過去5年間で10%以上のマイナスとなっています。(トルコリラに比べるとマシですが…)
一方で、米ドルは過去5年間で14%の上昇となっており、5年前に米ドルに外貨預金をしている場合「外貨預金の利息収入 + 為替差益」のダブルの利益を得ることができた結果となっています。
もちろん、この状況が今後も続くとは限りません。運良くトルコリラの為替レートが反発すれば、「高金利+為替差益」で大きな利益が得られるでしょう。
しかし、新興国の為替レートは長期的に右肩下がりになりやすいため、ハイリスク・ハイリターンであることには代わりありません。
より長期の為替チャートはアメリカのヤフーファイナンスで閲覧できます。
Yahoo!ファイナンスでは2005年から2018年までの13年間のトルコリラ円のチャートが見れますが、この13年間でトルコリラは65%下落しています。
13年前と比較して、価値が半分以下になっているのは事実ですが、一方、トルコリラの外貨預金で13年間運用したと考えると、トータルではプラスになっている可能性もあります。
トルコリラを外貨預金で扱うネット銀行
トルコリラの外貨預金を取り扱っているのは「SBI新生銀行」「大和ネクスト銀行」の2行です。
新興国通貨(マイナー通貨)であるために、比較的資本の大きい大手銀行だけが、トルコリラの外貨預金サービスを提供しています。
気になる為替手数料ですが、どちらの銀行もそれなりに高いです。。。
大和ネクスト銀行の場合、片道75銭の為替手数料がかかります。
SBI新生銀行の場合は、会員グレードによって異なります。プラチナランクなら50銭、ゴールドランクは80銭、スタンダードランクは1円(100銭)となっています。
SBI新生銀行のプラチナランクになれば、トルコリラの為替手数料は通常の半額となりますが、正直言ってプラチナランクを目指すのはハードルが高いです。
ただ、大和ネクスト銀行の75銭と比較すると、SBI新生銀行のプラチナランクの方が圧倒的に安いことがわかります。
いろいろな通貨に外貨預金してみよう
トルコリラは値動きが激しいので、他の通貨への外貨預金などに分散投資することをおすすめします。
主要な外貨についても下記にて解説しているので、ご参考までに。
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