デメリットが多いリバースモーゲージがおすすめの人は?リスクをわかりやすく解説
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リバースモーゲージにはデメリットも多く、軽い気持ちで契約するのは危険です。
リバースモーゲージとは、自宅を担保に低金利のローンを組んで、自分が亡くなったら家を売って一括返済するサービスです。
年金だけでは生活費が心もとない人や、老後も残っている住宅ローンを完済したい人などが多く利用しています。
生きている間は自宅に住み続けられるので、「家を売ってお金を受け取りたいけど、住み慣れた家は離れたくない」という人に向いています。
しかし、リバースモーゲージのリスクを知らずに利用するとかえって損をしたり、遺族に借金を残したりしてしまいます。
今回は、リバースモーゲージがどんな人におすすめなのかを検証しました。
目次
リバースモーゲージの使い方
まずは、リバースモーゲージとはどんな仕組みのローンかを見ていきます。
基本的には冒頭で触れたとおり、「契約者が亡くなったら家を売って一括返済をする」と約束し、そのかわり低い金利でお金を借りるローンです。
基本的には終身契約
リバースモーゲージのほとんどは、契約者が亡くなるまでお金を借りる終身型の契約です。
契約期間は決まっているが、解約の意図がなければ毎年自動更新する、というプランもあります。
しかし、金融機関によっては「契約期間20年」のように、契約期間が決まっていることもあります。
その場合も亡くなってから自宅を売ることを前提に申し込むことが多く、金融機関もシニアのなかでも高齢な人に勧めることが多いです。
例:75歳でリバースモーゲージを20年契約するなど
■中途解約しても一括返済しなければならない
ほとんどのリバースモーゲージは、お金を借りる必要がなくなれば中途解約もできます。
しかし、途中で解約すると借りたお金を一括返済しなければならないので、返済のためにまとまったお金を用意する必要があります。
長期間お金を借りていた、もしくは大きな金額を使っていた場合は、まだ自宅に住み続けたくても家を売らないといけなくなるかもしれません。
実際に、リバースモーゲージを中途解約するために、まだ契約者が生きているにもかかわらず自宅を売る人は多いです。
金利相場は年3%
リバースモーゲージの金利は基本的に変動金利で、相場としては年率3%前後が多いです。
カードローンの金利が年13~18%くらいということを考えると、非常に低金利なローンと言えます。
リバースモーゲージの金利が低いのは、家という大きな資産を担保にするからです。
家を担保にすると家を売ることで返済できる、つまり金融機関にとっては貸し倒れリスクが低くなります。
その分、金利を低く設定できるという仕組みです。
一方、カードローンは無担保でお金を貸すので貸し倒れリスクが高く、金利を高めにする必要があります。
リバースモーゲージには、使い道が自由なプランと、指定の使用目的にのみ使えるプランがあります。
フリーローンと目的別ローンのようなイメージです。
なるべく金利を下げたいと考えていて、かつ金融機関が指定する利用目的にあてはまる場合は、利用目的限定のプランがおすすめです。
使いみちが自由なリバースモーゲージより、低金利に契約することができます。
リバースモーゲージの目的別プランで多いのは、下記の使途です。
- 老人ホームの入居費用
- 自宅の購入やリフォーム
- 医療費や介護費
ただし、リバースモーゲージの目的別プランは、お金をかりるたびに申請する手間がかかるというデメリットがあります。
見積書など、借りたお金の使いみちがわかる資料を提出して、許可をもらわないと融資してもらえません。
これを手間だと感じたり、年金のように定期的にお金を受け取りたい場合は、使いみち自由のプランをおすすめします。
リフォームや増改築の場合は、住宅ローンを組んだ方が低金利な場合もあります。
しかし、住宅ローンは審査が厳しく、高齢者の方は利用できない可能性もあります。
そのような人にとっても、持ち家を持っていれば高齢者でもローンが組めるリバースモーゲージはメリットがあると言えます。
借入方法は3種類
リバースモーゲージでお金を借りる方法は、大きく分けて3通りあります。
どの借入方法が自分に合っているかは、お金を何に使いたいかによって変わるので、お金を使う目的によって選ぶのがおすすめです。
- 年金方式
- 定期的に一定の金額を少しずつ受け取る方法(例:毎月5万円)。
ついお金を使い込んでしまうことを防げるので、日々の生活費として使いたい人に向いています。 - 一括方式
- はじめに一括でお金を借りる方法(例:契約時点で1,000万円融資)。
家のリフォームや老人ホームへの入居など、大きな出費のためにリバースモーゲージに申し込む人に向いています。 - 極度額方式
- 好きなタイミングで借りる方法(例:医療費)。
突然の入院や介護など、万が一お金が足りなくなった場合に備えることができます。カードローンの使い方に似ています。
リバースモーゲージを利用する人のなかには、年金方式で毎月お金を受け取って生活費にあてる人も多いです。
たとえば、リバースモーゲージの融資上限額が1,000万円だった人が、年金方式で借り入れるとします。
20年間にわたって毎月お金を借りるとすると、毎月約4万円のお金が受け取れます。
1ヶ月の生活費が4万円増えると、生活水準がかなり上がると思います。
ちなみに、複数の借入方法を選べる金融機関もあれば、ひとつの借入方法しか扱っていない金融機関もあります。
検討しているリバースモーゲージの借入方法が、自分のライフプランに合っているか確認することをおすすめします。
返済方法は2種類
リバースモーゲージの返済の基本は、「生きている間は返済不要で、契約者が亡くなったら家を売って一括完済」です。
しかし金融機関によっては、利息だけ毎月返済することも可能です。
つまり、元金は契約者が亡くなってから一括返済し、利息は毎月少しずつ返していく、という返し方です。
利息だけでも早めに返済しておくと、亡くなった後の返済額も減らすことができます。
■利息が増える仕組み
ローン全般の利息は、今まで借りている元金と利息の合計額に対して金利(年率)をかけることで算出します。
そして、利息は日割り計算で加算されていきます。
つまり、利息を返さないままでいると、雪だるま式に借入額が増えていくという仕組みです。
借入額が増えて「自宅を売るだけでは返済しきれない」という事態を避けるためには、少しずつでも利息を返済すると安心です。
リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージのメリットをまとめると、今と変わらない生活をしながらお金を借りられることに尽きます。
具体的には、下記3点の利点があります。
■リバースモーゲージのメリット
- 高齢でも低金利でお金を借りられる
- 家に住み続けることができる
- 生きている間の返済負担が少ない
まず高齢者になると、カードローンなどの一般的な借入れが利用しづらくなります。
多くのカードローンは年齢制限を設けていて、65歳くらいまでしか申し込めない金融機関がほとんどです。
65歳以上になると年金収入のみの人が増え、返済能力が低くなるからです。
参考:カードローンの年齢制限は20~65歳前後 未成年や高齢者のお金の借り方
一方、リバースモーゲージは家を担保にして返済能力をカバーするので、高齢者でもまとまったお金を借りることができます。
最終的に家を売ることにはなるものの、生きている間は住み慣れた自宅に住み続けられるのも大きなメリットです。
老後資金が足りずマイホームを売り、狭いアパートに引っ越す…ということにならずに済みます。
そして、借りたお金は亡くなったあとに家を売ることで一括返済するので、生きている間は返済負担がありません。
デメリットも多い
上記の通り、リバースモーゲージは亡くなるまで負担なくお金を借りることができ、自宅にも住み続けられるメリットがあります。
しかしデメリットも多いため、手軽に契約できるローンではありません。
場合によっては、遺族に借金を残してしまうことも考えられます。
利用条件が厳しい
リバースモーゲージは利用するための条件が多く、審査も厳しいです。
年齢や収入に制限があるのは一般的なローンと同じですが、同居している家族や担保にする家の制限もあります。
- 年齢
- 60歳以上からに設定していることが多い。
- 収入
- 継続した安定収入(年金可)があることを求めることもあれば、「年収120万円以上」というに具体的な年収条件があることもある。
- 家の形態
- 基本的には一戸建てのみ。マンションは不可。
- 家の価値
- 多くの業者は価値が高い物件しか買い取らない。
目安としては評価額1,000万円以上くらいから。都心部の物件しか買い取らない場合もあり。 - 同居家族がいるかどうか
- 基本的には契約者の一人暮らし、もしくは夫婦のみの二人暮らしで住んでいることが条件。
子供や兄弟など、ほかの同居家族がいるとリバースモーゲージは利用できない。
年齢は、60~65歳以上に指定している金融機関が多いです。
55歳から申し込める場合もありますが、少ない印象です。
さらに、リバースモーゲージはあくまでローンなので、安定した収入がないと審査に通りません。
公的年金のみの収入でも申し込めることが多いですが、年収条件を設けている金融機関もあるので事前確認が必要です。
また、リバースモーゲージで担保にできる家は、基本的には評価額1,000万円以上の価値がある「一戸建て」のみです。
リバースモーゲージで担保に入れる家の評価は、家だけでなく土地も含めて行うので、マンションは利用できないことが多いです。
一軒家だったとしても、評価額がある程度高くないと契約できないので、過疎化が進んでいる地方の家などは断られることもあります。
たとえば、メガバンクの三菱UFJ銀行・みずほ銀行のリバースモーゲージは、東京・神奈川・千葉・埼玉の物件しか扱っていません。
ちなみに、まれにマンションでも申し込めるリバースモーゲージがありますが、築年数や立地がかなり良くないと契約できないことが多いです。
そして、リバースモーゲージ独特の契約条件は、同居家族についてです。
リバースモーゲージで担保にする家には、契約者が一人暮らし、もしくは夫婦二人暮らしである必要があります。
子供と一緒に暮らしていると利用できないので、その場合はリースバックの方がおすすめです(→リースバックとは)。
遺族に借金を残す可能性がある
万が一、担保の家を売ってもリバースモーゲージの借入金が返済できなかったら、遺族が返済をすることになります。
契約者に十分な預金があればそこから返済できますが、家以外の資産を持っていなかったら遺族が返済を肩代わりすることも考えられます。
このような事態になる例としては、リバースモーゲージを契約してから家の価値が下がってしまった場合や、金利が上がって利息負担が増えてしまった場合があります。
リバースモーゲージは「契約者が亡くなってから家を売る」という性質上、10年以上の長期ローンを組みます。
よって、その間に家の価値や金利が変わることも十分ありえます。
リバースモーゲージを利用するときは、家族にちゃんと理解してもらった上で契約することをおすすめします。
長生きすると損する
リバースモーゲージは、長生きするとさまざまなリスクがあるローンでもあります。
少し前に説明した、契約期間が長くなればなるほど、家の価値や金利が変動するのもリスクの一つです。
ほかにも、生きている間に借入限度額の上限に達してしまう可能性があります。
毎月の生活費として借りていた場合は、生活費が数万円下がることになり家計が厳しくなってしまいます。
さらに、契約期間が決まっているリバースモーゲージに申し込むと、生きている間に契約が終わってしまうことも考えられます。
その結果、まだ自宅に住み続けたいのに、一括返済を求められて泣く泣く家を売ることになるかもしれません。
売却価格は相場より安くなる
リバースモーゲージは、家の売却価格の5~8割ほどしか融資を行いません。
契約者の長生きリスクなど、家の評価額や金利の変動に備えるためでもあります。
しかし、売却価格だけで比較すれば、普通に家を売る「任意売却」をした方が家は高く売れます。
自宅に住み続けることにこだわりすぎず、家を売ったあとに引っ越せる人は、任意売却も検討することをおすすめします。
連帯保証人が必要なことも
リバースモーゲージは、基本的に連帯保証人がいなくても申し込めます。
多くの大手金融機関では、連帯保証人を立てないかわりに、保証会社の保険に入らせてもらえるからです。
しかし、公的なリバースモーゲージでは連帯保証人を立てなければいけないこともあります。
とはいえ、高齢者が連帯保証人を探すのは大変です。
まず連帯保証人は、契約者とほぼ同じくらいの返済責任を背負うことになります。
特に、高齢者は若い人に比べて亡くなるリスクも高いので、連帯保証人が本当に返済しなければならなくなる確率が高いです。
このような責任を負う連帯保証人になってもらうためには、家族や親戚にしっかりと事情を説明することになります。
身内と疎遠な人は、特に連帯保証人探しに苦労するかもしれません。
生活保護のリバースモーゲージもある
リバースモーゲージは銀行などの金融機関が多く提供していますが、自治体や国などの公的なリバースモーゲージもあります。
たとえば、厚生労働省はリバースモーゲージの仕組みを使った、低所得者向けの福祉制度を提供しています。
国が運営するリバースモーゲージは「生活福祉資金(長期生活支援資金)」といい、生活保護を受給する前に利用する制度です。
資産を持っている人は生活保護を利用できないので、生活が苦しいけど持ち家があるという人は、この公的リバースモーゲージを利用する流れになります。
公的なリバースモーゲージを利用する場合は、各都道府県の社会福祉協議会の窓口に相談します。
下記要件に当てはまる高齢者世帯であれば、自宅を担保に生活資金を貸し付けてもらえます。
■生活福祉資金の貸付条件
- 契約者本人が一人暮らし、もしくは夫婦と二人暮らしの家を持っている(ほかの家族が同居していない)
- 家に賃借権・抵当権が設定されていない(=担保にできる)
- 契約者が65歳以上(配偶者と同居している場合は配偶者も)
- 一定の収入水準を下回っている
※詳細は厚生労働省の公式サイトを参照
金利や貸付額などの条件は、銀行と大きな違いはありません。
借りることができる金額は家の評価額の7割までで、それまでは亡くなるまでお金を借りられます。
しかし、亡くなる前に7割のお金を借り切ってしまった場合は、再審査をした上で生活保護を受けることになります。
また、公的リバースモーゲージの審査は数ヶ月かかることもあり、それまでの生活が苦しければその間に生活保護を受けられるケースもあります。
生活費が足りなくて困っている人は、銀行だけでなく社会福祉協議会にも相談することをおすすめします。
リバースモーゲージが向いている人とは
ここまで見てきたとおり、リバースモーゲージはメリットもあるものの実はデメリットも多いローンです。
それも踏まえて、リバースモーゲージがおすすめの人は下記のとおりです。
■リバースモーゲージが向いている人
- 市場価値のあるマイホームを持つシニア層
- 子供がいないので家の相続の心配をしなくていい夫婦
- 家を売ってお金が欲しいが引っ越しはしたくない人
まず、リバースモーゲージは立地が良い家など、価値がある程度高くないと利用できません。
都市部や駅近など、良い条件の家に住んでいる人が対象となります。
そして子供と同居しているとリバースモーゲージは利用できず、利用したとしても子供に家という財産を遺せなくなります。
そう考えると、どちらかというと子供がいない世帯向けです。
家を相続する子どもがいないから、自分たちで家を売ってセカンドライフを充実させるというシニア夫婦も多いです。
そして、自宅を売る約束をする代わりに、自宅に住み続けられるので、マイホームに思い入れがある人や環境を変えたくない人にも向いています。
しかし、「自宅に住み続けたい」という望みを叶えたいのであれば、家を売ってすぐに賃貸として借りるリースバックという方法もあります。
リースバックも家を売ることは同じですが、リバースモーゲージに比べてデメリットが少ない傾向があり、注目されつつあります。
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2件のコメント
リバースモゲージ、メリット、デメリットの詳細な説明、よく理解できました。質問があります。契約者の死亡後、誰がその家を売却するのですか?相続人ですか。リバースモゲージでお金を貸した銀行ですか?
>金魚さん
コメントありがとうございます。
リバースモーゲージで、自宅を売却する手続きを行うのは相続人です。
もし、自宅を売却せずに借入金を一括返済できる場合は、自宅を売らないという選択も可能です。