災害で必要になる現金、どうやって備える?キャッシュレスが便利な場合も実はある
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日本は地震大国と言われ、特に2018年は震災や大雨などの自然災害が多い年でした。
災害が立て続けに起こったことで避難方法や備え方について関心を持つ人が増えましたが、そのなかでもいざというときは現金が必要という考えが強まった印象があります。
現在、日本でも少しずつキャッシュレス化が進み、現金をあまり持ち歩かない人が増えています。
しかし実は、災害に備えるお金をすべて現金で用意する必要はありません。
クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済は、災害数日後だと便利なシーンも多いです。
今回は、災害時に必要になるお金の備え方についてまとめました。
目次
電子決済だけでなくATMも使えなくなる
災害が起きるとさまざまなライフラインが途絶えてしまいますが、なかでも電気が止まってしまうと、電子決済が使えなくなります。
電子決済とは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、LINE Payなどのスマホ決済を指します。
このような決済方法は、決済機器がオンライン状態でないと利用できないので、電気とインターネット通信がないと使えません。
しかし、停電が起きると電子決済だけでなく、ATMも使えなくなることも大きいです。
ATMも電動の機械なので、電気が通っていないとお金を引き出すことはできません。
たとえば、2018年秋の北海道地震では大規模な停電が起き、クレジットカードなどの電子決済だけでなく、ATMが使えなくなる事態になりました。
ATMが使えないとすぐに現金が引き出せないので、スーパーなどが営業していても水や食料といった必需品を購入できません。
「災害が起きるとATMが使えなくなる」という教訓にもなったと思います。
電気などのライフラインが止まっても店舗は営業している場合、現金があれば生活用品の購入ができて余裕が生まれます。
ちなみに私の知人は、北海道地震の発生時は偶然まとまったお金を引き出した直後だったので、自宅に留まるのが危険だと思いホテルに泊まることができた、と話していました。
災害時は金融機関で現金が引き出せることも
もちろん、現金を多めに用意して備えるに越したことはないですが、大金をすべて現金で持っておく必要はありません。
震災などの災害時は、キャッシュカードがなくても現金の引き出し対応を行う金融機関が多いからです。
銀行に数時間並ばなければいけなくなる可能性はあるものの、身一つで逃げてきてお金がない…という人も、いざというときは出金できるので安心です。
本人確認ができれば現金を引き出すという特別措置は、過去の災害時でも実施されています。
実際に、東日本大震災と北海道地震のケースを調べてみました。
いずれも銀行の営業再開は早く、1週間以内には開いている支店がほとんどでした。
東日本大震災での払い戻し対応
2011年の東北大震災の際、東北エリアの主要金融機関は、通帳やキャッシュカードがない利用者にも10万円までの払い戻しに応じる特別措置を取りました。
震災直後からしばらくは土曜、翌々日の日曜にも臨時営業を行うという、スピーディーな対応でした。
その際、本人確認書類があるとスムーズに手続きが取れたとのことなので、運転免許証や保険証を持っていることが重要です。
北海道地震時では貸出金利引下げも
2018年の北海道地震でも、道内全域が停電したことでATMが使えなくなるなど、大きな被害が出ました。
その際、ゆうちょ銀行やメガバンクを中心に、最大20万円までの現金引き出しに応じるなどの措置を行いました。
さらにメガバンクは、自宅の復旧に必要なお金を貸し出す際に金利を引き下げ、利息負担を減らす対応も行っています。
地震によって自宅の修繕にお金がかかってしまった場合でも、低金利でお金が借りられると安心だと思います。
電気の復旧日数は数日~1週間
ここまでは、停電で現金以外の一切の支払いができなくなった場合の想定でした。
しかし、ライフラインの中でもっとも復旧が早いのは電気だと言われています。
電気が復旧するまでの日数は、数日~1週間ほどと言われているので、少しの間を手持ちの現金で乗り切れば、ATMでお金が引き出したりカード決済ができるようになります。
たとえば、道内全体で大規模な停電が起きた北海道地震では、2日ほどで電気が復旧しました。
東日本大震災や熊本地震でも1週間で電気が通ったので、1週間を過ごせるだけの備えがあれば何とかなります。
1人につき5~10万円ほど現金があれば、停電中の買い物でも困らないのではないかと思います。
現金5万円+場合によっては銀行で現金引き出しをしてもらう、という備え方もありです。
非常用バッグなど、災害に備えて現金をストックしておくなら、1,000円札と硬貨で備えることをおすすめします。
なぜなら、災害が起きると店舗で釣り銭が不足することが多いからです。
3,000円の買い物をしようと1万円札を出して、お釣りがない…という事態も考えられるので、お札に関しては1,000円札を多めに用意しておくことをおすすめします。
さらに、硬貨も用意しておけば少額の買い物がしやすく、もし自動販売機が動くようになれば飲み物も買いやすくなります。
このように、小銭も多めに用意しておく必要があると考えると、何十万円をすべて現金で用意するとかなり重い荷物になります。特に、硬貨は意外と重いです。
非常用バッグがあまりに重いと、避難時のフットワークも重くなってしまいます。
さらに、現金以外に備蓄水や食料などを備えておくことも重要と考えると、現金は5~10万円ほどで十分かと思います。
クレジットカードや電子マネーも備えにはなる
災害の備えとして「現金が大事」と言われるようになってきましたが、現金だけで生活費を準備するのは意外と大変です。
前述の通り、災害でも使いやすい1,000円札と小銭メインで揃えるとかなりの荷物になるので、非常用バッグが重くなってしまいます。
電気やネット回線が復旧すれば、クレジットカードなどの電子決済も使えるようになるので、それらも用意しておいて良いと思います。
決済方法別に、災害対策としてのメリットをまとめてみました。
クレジットカードの後払いはメリット
クレジットカードは、電気と通信の両方が復旧しないと使えないので、災害には弱い決済方法です。
しかし、電気が通ってネット環境も回復すれば、今すぐお金がなくても後払いで買い物ができるようになるので、手持ちのお金がなくても生活をしのげるようになるのはメリットです。
■クレジットカードのメリット
- 後払いなので、現時点でお金がなくても支払える
- 旅行傷害保険が付帯していることが多い
クレジットカードで支払えば、当月の支払い分をまとめて翌月に支払うことになるので、翌月までに口座残高を用意する猶予期間ができます。
被災という緊急時は、とにかく今必要なものを購入しなければならないので、クレジットカードが特に役に立ちます。
また、クレジットカードの多くは旅行傷害保険がついているので、もし旅行先で台風や雷、大雨などで怪我をしたときは保険金を受け取ることができます。
※国内旅行傷害保険では、地殻変動が原因の地震や津波、噴火などによる怪我は補償対象外です。
損害保険会社で申込む傷害保険なら、天災特約をつけて補償できるようにすることも可能ですが、クレジットカードの付帯保険でそこまで特約が付けられるケースはほとんどありません。
海外旅行傷害保険では、地震・津波・噴火による怪我も補償があります。
電子マネーは自販機で使える
次に、災害時における電子マネーのメリットです。
電子マネーには、先にチャージをしておいて使うプリペイド方式(楽天Edy、Suica、nanacoなど)と、クレジットカードのように後払いのポストペイ方式(iDなど)があります。
いずれも、手持ちの現金を減らさずに支払いができて便利です。
そして、災害時に自動販売機で支払いができる場合があるのもメリットです。
■電子マネーのメリット
- 手持ちの現金を減らさずに済む
- 自動販売機で利用できることがある
自動販売機が使えても、現金のみの自販機だと釣り銭切れで購入できないケースが多いです。
電子マネー対応の自動販売機だと、災害時も電子マネーで飲み物を買えたという口コミが多々あります。
その理由は、電子マネーはオフライン決済だからです。
電気さえ通れば、インターネットの通信環境が回復していなくても決済が可能になります。
電子マネーが使えるシーンはクレジットカードよりやや少なめですが、クレジットカードより災害に強い電子決済と言えます。
デビットカードの一部は災害に強い
デビットカードは、支払いをすると銀行口座から即時引き落としになるカードで、使い勝手はクレジットカードとほぼ同じです。
クレジットカードだと使いすぎてしまいそう、という人が使うケースも多いです。
クレジットカードと同じく、電気とネット環境が復旧しないと基本的には使えませんが、一部オフライン決済ができるデビットカードもあります。
災害に備えるために用意するのであれば、「オフライン決済ができるかどうか」は大事な比較ポイントになります。
■デビットカードのメリット
- 一部デビットカードはオフライン決済ができる
- 旅行傷害保険が付いているものもある
オフライン決済ができるデビットカードは、電気が復旧していればネット環境がなくても決済が可能です。
少数派ではありますが、一部のVisaデビットと、日本独自の規格のデビットカード「J-debit」はオフライン決済が可能です。
なかでも、日本初のネット銀行「PayPay銀行」のVisaデビットは、オフライン決済を採用しています(→PayPay銀行のデビットカードの詳細はこちら)。
PayPay銀行のVisaデビットは、一般的にデビット決済ができないとされているガソリンスタンドでも使えるので、災害時の給油にも使えて便利です。
もう一方のJ-debitというデビットカードは、ゆうちょ銀行などが扱っているデビット規格ですが、利用できるお店が極端に少ないのでおすすめしません。
また、デビットカードのなかには、クレジットカードと同じように国内外の旅行傷害保険が付帯しているものも少数ながらあります。
旅行によく行くけどクレジットカードは作りたくない人は、万が一に備えて旅行保険がついているデビットカードを持っておくのも一つです。
セブン銀行の災害向け現金受取サービス
そのほかにも、現金を受け取る方法として、セブン銀行が新しい仕組みを確立しました。
セブン銀行は「現金受取サービス」を使って、災害時に損保の保険金を最短1時間で受け取れる仕組みを提供しています。
2018年10月にセブン銀行はAIG損害保険と提携をし、災害時にセブン銀行ATMから保険金の一部を現金で受け取れるサービスを始めることになりました。
AIG損保に加入している人が、災害で保険金が受け取れると認められたら、10万円までの現金をセブン銀行で受け取れるようになります。
その際、セブン銀行の口座やキャッシュカードは不要です。
AIG損保から保険金支払いを認められてから、最短1時間で現金が受け取れるスピード感も大きなメリットです。
2021年12月1日からはソニー損保とも提携し、火災保険の保険金の一部を、セブン銀行のATMを通じて受け取ることができるようになりました。 。
被災から数日経ち、手持ちの現金がなくなりそうになったときなどに助かるサービスだと思います。
現金と電子決済、両方で災害に備える
ここまで説明した通り、災害時に使えるお金は現金以外にもいろいろあります。
銀行でも柔軟な対応をしてもらえる上に、電子決済の中には電気さえ復旧すれば使えるものもあります。
電気の復旧はライフラインのなかでも早い方なので、それまでをしのげる現金があれば食事や生活用品が買い足せます。
現金5~10万円に加えて、クレジットカードやデビットカード、電子マネーも用意しておくと、手持ちの現金が減るスピードを減らせます。
いざというときに現金が使えるように、電気が復旧してからは電子決済を使うようにする、という対応もおすすめです。
デビットカードについて:
残高不足でも支払いができるデビットカードがあるって本当?