リスクや危険は?高金利な楽天エクステ預金が持つメリット・デメリットを検証
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楽天銀行が提供している預金商品の一つに「楽天エクステ預金」というものがあります。あまり耳慣れない預金方法なので、その仕組みがわからない方も多いと思います。
エクステ預金は別名で
・ステップアップ預金
と呼ばれています。(理由はあとで説明します)
また、そのほかに
・満期特約定期預金(期間延長型)
とも呼ばれています。
つまり、名前にあるように「定期預金」の一種です。
今回は、楽天エクステ預金のメリット・デメリットについてまとめました。
目次
楽天エクステ預金のメリット
楽天エクステ預金をわかりやすく理解するために、まずは「ステップアップ預金」について解説します。
満期が延長されるたびに金利がアップする
楽天エクステ預金(ステップアップ預金)は、元々高めの金利が設定されています。さらに、そこから1年ごとの満期が延長されると、年々金利が上がっていく仕組みです。
たとえばこの記事を書いているときの水準で言うと、
- 1年目:0.001%
- 3年目:0.003%
- 5年目:0.005%
- 10年目:0.010%
となっていました。
注目して欲しいのは「その上がり具合」です。1年目から5年目までの金利は2倍増にはなっていません。しかし、5年目から10年目は2倍増になっていることがわかります。
つまり、長期になるほどお得、加速度的に金利は増加していく特徴があります。
元本保証なので損することはない
この預金商品は通常の定期預金と同じく、預金保護の対象なので、「元本保証」です。
ただし、後述のデメリットの項で説明しますが、これは楽天エクステ預金のルールに則った場合の話です。普通の定期預金の場合、中途解約しても損失は発生しませんが、楽天エクステ預金の場合は中途解約すると元本割れが起こる可能性があります。
また、原則として元本と利息の両方が預金保護の対象となるので、万が一楽天銀行が破綻するようなことがあっても、1,000万円以下なら、預金保険機構によって保護されます。
この点に関しては間違いないです。株式や投資信託のように、元本割れが頻繁に起こるものではないので安心です。
高金利+楽天ポイントも貯まる
楽天エクステ預金(ステップアップ預金)は、最低預金額10万円から始められます。若い方でも、将来のための資産運用の一つとして、十分試すことが出来る商品です。
また、見て分かる通り楽天エクステ預金は非常に金利が高いです。さらに年々金利が増加し、受け取る利息も増えるため、金利だけに着目すれば文句はないと思います。
さらに、楽天銀行の場合は「ハッピーポイントプログラム」の対象となっています。会員ステージと預金額に応じて、楽天ポイントが別途もらえます。
楽天エクステ預金のデメリット
もちろん、デメリットもあります。
この定期預金の最大のデメリットは「解約日がこちらから指定できないこと」に尽きます。
延長するかどうかは銀行が決める
楽天エクステ預金の注意点の中から、以下の引用を紹介します。
満期特約定期預金とは、一般の定期預金とは異なる満期特約(満期繰上特約)が付与されている代わりに、お客さまに当行の通常定期預金よりも高い金利をご提供する円定期預金です。
楽天エクステ預金は、当行の判断により満期日が延長される可能性があるかわりに、当行の通常の定期預金より高い金利が設定されている満期特約定期預金(期間延長型)です。
つまり、最長10年延長される「可能性がある」満期日は楽天銀行が決める権利を持っているということです。楽天エクステ預金に預けても、必ず10年間延長できるわけでなく、3年目で終わるかもしれないし、6年目で終わるかもしれません。
極端なことを言うと、「10年目の金利は15%です!」と言ってステップアップ預金を集め、9年目で満期にして終了、ということもできわけです。
ただし、現実問題として普通の10年定期と比較しても圧倒的に金利が良いので、「最初から10年定期を組むつもり」なら、楽天エクステ預金を選択した方が断然お得であることには代わりません。
中途解約はできない(元本割れが発生する)
一方、私たちの側からすると「中途解約は一切できない」仕組みになっています。満期特約定期預金(期間延長型)のルールとして、銀行側は中途解約はされない前提で運用を行うため、「どうしても中途解約したい!」という人が出てくると非常に困るわけです。
もし、どうしても解約しなければならない場合は、元本割れを覚悟する必要があります。
- 適用利率と市場金利の金利差に基づき発生する費用
- 延長特約の価値
- 再構築に伴う費用
解約には、これらの費用を負担する必要があります。
また、解約費用は一律ではなく、市場金利の状況によって変わります。
下記の引用をご参照ください。
この預金の解約費用は、市場金利が上昇するほど、また、最終満期日までの残存期間が長いほど、高くなる傾向にあります。たとえば、預入後すぐに解約した場合において、市場金利の変動がなかった場合には、諸経費込みで元本の約6%の解約費用が掛かると予想されます。100万円お預入れいただいた場合には約6万円の解約費用がかかり、約94万円が払戻しの金額となります。
なぜこのようなことが起こるのかというと、仮に定期預金の開始から5年目ぐらいになったとき、(極端ですが)市場金利が4%になったとします。
普通に定期預金などを組んでも、4%近い金利がつくのに、楽天エクステ預金に預けているから0.45%しか利息がもらえない。。。となれば、解約してでも乗り換えた方がお得!となりますよね。
ただ、そのような事態を避けるために「解約は許さないぞ」という意味を込めて、金利が高くなればなるほど、解約手数料も上がる仕組みになっているのです。
満期特約定期預金(期間延長型)のデメリットはこれだけです。
楽天エクステ預金(フラット)はどうなの?
楽天エクステ預金には2種類のタイプがあります。
- ステップアップ
- フラット
ステップアップ預金は毎年金利が上がっていくタイプ、フラットは最大10年間ずっと金利が固定されるタイプです。
中途解約ができないなどの条件は同じです。
つまり、誰が見ても明らかですが、両者を比較した場合は「明らかにステップアップ預金の方がお得」です。
これは単純に楽天銀行がステップアップ預金を推したい意向があるからだと思いますが、今のところ、フラットを選択するメリットはありません。
もし、楽天エクステ預金を検討するなら「ステップアップ預金」を選択しましょう。
なぜこのような高金利が実現できるのか?
それでは最後に、楽天エクステ預金(仕組預金とも呼びます)のカラクリについて説明します。これまでのメリット・デメリットが理解できていれば、なんとなく高金利が実現できている理由がわかると思います。
普通預金も定期預金も、そしてエクステ預金も同じですが、銀行がやることはひとつです。
「お金を低金利で集めて高金利で運用する」
銀行のメインビジネスはこれだけです。
たとえば、0.2%の定期預金を売りだして顧客からお金を集め、0.3%の国債を購入して、差額の0.1%の手数料を得る。といったところ。
運用方法は国債だけに限らず、住宅ローンの貸付であったり、中小企業への融資であったり、カードローンの貸付であったりとさまざまです。
楽天エクステ預金の場合も同じで、「楽天銀行が必ず儲かるように設計されている」ことにはかわりません。ただし、これは顧客側も同じで「顧客側も必ず儲かるように設計されている」ので安心です(中途解約の場合は除きます)。
ただし、満期特約定期預金(期間延長型)の場合は満期日が楽天銀行によって決められるため、楽天銀行にとっては以下のメリットがあります。
■市場金利が大きく上昇した場合
つまり、エクステで集めたお金を国債で運用して利益が出ている状態。わかりやすく極端な例を出しますが、仮に国債金利が3%になればウハウハ、5%になればもっとウハウハとなります。
一方で、中途解約が禁止されている私たちにとっては、損することはなくても実質的な「機会損失」が発生していることになります。もし国債金利が5%とかになれば、普通預金金利でも1.8%を超えてくるかもしれません。
当然、普通預金がエクステ預金を上回ったら、私たちにとってメリットが何一つないので、一刻も早く解約して乗り換えたいところですが、それはルール違反なのでできません。
■市場金利が上がらないまたは下がった場合
将来の市場金利がどうなるかは、予測はできても確実に言い当てられる人は誰もいません。しかし、満期日を決める権利を取ることで、楽天銀行には以下のメリットがあります。
もし、エクステで集めたお金を国債で運用して利益が出ない状態になったら、「今年でこの定期は終わりです」と満期を行使して、一旦終了させてしまえばよいのです。
楽天エクステ預金は、ステップアップ型なので、毎年(楽天銀行が支払わなければならない金利)が上昇します。これに合わせて市場金利も上がっていけば良いのですが、市場金利がまったく上がらず横ばいの状態だと、年々利幅が小さくなり、楽天銀行が取れる利益も減ってしまいます。ましてや、市場金利が下がってしまうと、よりそのスピードは加速します。
このような状態で、楽天銀行が取れる利益と、顧客に支払う利息が逆転した時点で、この定期預金は強制終了となります。
ただし、一般の円定期預金と比較すると1年目から圧倒的に金利が高いのは事実なので、個人的には「確実に中途解約はしない」と覚悟できる余裕資金であれば、楽天エクステ預金はメリットが大きいと思います。
判断のポイントをまとめます!
最後に、「楽天エクステ預金(満期特約定期預金)」はメリットがあるのか、それともデメリットしかないのか?という人に対して、判断のポイントをまとめます。
第一条件:
最長10年間は絶対に解約しないと覚悟できる資金であること。
これは「やる・やらない」を決める上での絶対条件です。
第二条件:
■今後10年で金利は横ばいで推移(または下がる)と思う場合
楽天エクステ預金をおすすめします。市場金利が上昇しなくても、ステップアップ預金は年々上がるため、10年を待たずにどこかで満期にさせられる可能性が大です。
しかし、仮に1年目で満期になっても、3年目で満期になっても、普通の円定期預金に預けるよりは圧倒的に高金利で運用できるので、メリットは非常に大きいです(しかも元本保証です)。
■今後10年で金利が大きく上昇すると思う場合
楽天エクステ預金への預金はやめておきましょう。
この記事を書いているときの10年国債金利が0.09%で、楽天エクステ預金の1年目の金利が0.001%です(つまり理論上の楽天銀行の利益は0.089%)。
そして、10年後の楽天エクステ預金の金利が0.01%なので、それに0.089%を足しあわせて、10年国債が0.099%以下になればその他の定期預金よりメリットがあると言えます。
逆に、10年後の10年国債金利が0.099%以上になっていると思うのであれば、金利が高くなるほど楽天銀行が得するだけなので、やめておいたほうが無難です。
これが楽天エクステ預金(満期特約定期預金)の全容です。
楽天銀行の詳細はこちら:
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