銀行が倒産しても全額元本保証、決済用預金口座が使えるネット銀行は?
※記事内に広告を含む場合があります
当サイトは更新を終了しました。
長きにわたり当サイトを愛読、応援くださった方々には誠に感謝しております。
※この記事の内容は執筆時点のものです。サービス内容・料金など、現時点の最新情報とは異なる場合がございます。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
銀行の倒産リスクが気になる方には、決済用預金口座の活用をおすすめします。
一般的に、銀行預金は「元本保証」と言われます。
しかし、日本には「ペイオフ(預金保険制度)」という仕組みがあり、銀行が倒産した場合は、その全額が補償対象となるわけではありません。
ペイオフについて簡単に解説すると、
- 円普通預金・円定期預金は元本1,000万円までと利息分を補償
- 外貨預金などは補償の対象外
となっています。(※詳細は金融庁の預金保険制度を参照)
私たちが普段から利用している「普通預金」や「定期預金」は1,000万円+利息分まで、銀行が倒産しても補償されます。
多くの人にとって、この補償は十分すぎる金額です。
しかし、1,000万円以上の預金を持つ人にとっては、銀行預金は完全な元本保証にはならず、有事の際には預金を失う可能性があるのです。
では、銀行が倒産しても預金を守るにはどうすればよいか。
1つの方法として、複数の銀行に預金を分散させ、1銀行あたりの預金額を1,000万円以下に抑えるということが考えられます。
しかしこれでは、預金の管理に手間がかかり、利便性が損なわれてしまいます。
もう1つの方法として、この記事の主テーマである「決済用預金口座」を使う方法があります。
目次
決済用預金口座とは?
決済用預金口座とは、簡単に言うと
- 完全な元本保証(銀行が倒産しても預金は全額保護)
- 預金利息がつかない
という特殊な銀行口座のことです。
少し難しいですが、決済用預金口座の正式な定義は、
1.無利息
2.要求払い(随時払い戻しができること)
3.決済サービス(口座振替等)が提供可能なこと
という3要件を満たす預金のことを言います。(参考:みずほ銀行)
利息が付かない代わりに、万が一銀行が倒産しても、その全額が補償されるため、1つの銀行に1,000万円超の預金がある人にとっては、利用メリットの大きい口座です。
昨今、預金金利が非常に低く、銀行にお金を預けても利息はほとんど付きません。
このような環境においては、決済用預金口座は魅力的な選択肢となります。
最も、預金が1,000万円以下の方にとっては決済用預金口座を利用するメリットはありません。
なぜなら、冒頭で述べたように、円普通預金口座や円定期預金口座でも、1,000万円+利息分まではペイオフにより補償されるからです。
無利息以外のデメリットはない
決済用預金口座は、あまり知られていない特殊な口座ですが、「無利息である」ことを除いて、デメリットは一切ありません。
決済用預金口座は、普通預金口座と同様に
- 自由な引き出し
- 銀行振込や口座振替などその他の銀行サービス
が制限なく使えます。
また、決済用預金口座を使うことで手数料などが生じることもありません。(切替時に収入印紙代200円がかかる銀行も一部あります)
普通預金口座と全く同じサービスが利用できます。唯一異なる点が「無利息である」というデメリットと、「全額保護」というメリットです。
将来的に金利が上昇し、預金利息が2%、3%と高くなれば、普通預金口座と決済用預金口座の選択を迷う方も出てくると思います。
しかし、昨今の低金利環境においては、決済用預金口座を選ぶ方が圧倒的に有利です。(預金残高1,000万円超の方にとって)
普通預金口座から切り替えて使う
決済用預金口座を作るにあたって、新たに口座開設の手続きをする必要はありません。
というのも、1つの銀行で「普通預金口座」「決済用預金口座」のどちらかを選択するため、「切り替え」の手続きをするだけで、現在お使いの普通預金口座を決済用預金口座に変更できます。
- 決済用預金口座の取り扱いがある銀行に口座を作る
- 普通預金口座から決済用預金口座への切り替えを申請する
たった2ステップで完了です。もちろん手数料などは一切かかりません。(切替時に収入印紙代200円がかかる銀行も一部あります)
最近は、ネットバンキング経由の簡単な手続きだけで、普通預金口座を決済用預金口座に変更できます。
口座番号もそのまま
普通預金口座から決済用預金口座に変更しても、口座番号は変わらないので安心です。
これまで通りの口座番号で、使い勝手もそのままです。
通帳もそのまま使えますし、普通預金口座に預けていた預金残高も、自動的に決済用預金口座に移動します。
繰り返しとなりますが、唯一異なるデメリットは「利息がつかなくなること」です。
必ず読んで!隠れたデメリット
ここまで、決済用預金口座のメリット・デメリットについて述べてきましたが、もう1つだけ「必ず伝えておきたいデメリット」があります。
それは、一部の銀行で「一度、決済用預金口座に切り替えると、原則として普通預金口座には戻せない」というルールを設定していることです。
わかりやすく言うと、一度でも普通預金口座を決済用預金口座に切り替えると、その銀行では今後もずっと決済用預金口座を使い続けなければならないということです。
※銀行によっては、一度だけ普通預金口座に戻せるものの、決済用預金口座から普通預金口座に戻すと、再び決済用預金口座に切り替えることはできないというルールを設定しています。
ただ、こうしたルールも銀行によりけりですし、あくまでも「原則として」なので、金利が大きく上昇するなど、環境が変われば銀行も対応してくれるでしょう。
また、このルールを設定しているところはごく一部の銀行だけです。ルールを設定していない銀行もたくさんあります。
ただし、大手銀行の場合、切替の度に収入印紙代200円がかかるケースが多いです。
▼一度切り替えた「決済用預金口座」を「普通預金口座」に戻せる?
銀行名 | 対応 |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 案内なし。 |
三井住友銀行 | 原則戻せません。 |
みずほ銀行 | 戻せます。 |
りそな銀行 | 戻せます。 |
スルガ銀行 | 戻せます。1ヶ月に1回のみ。 |
関西みらい銀行 | 戻せます。 |
PayPay銀行 | 戻せます。 |
GMOあおぞらネット銀行 | 同月内は戻せません。また、一度有利息口座に戻すと、再び決済用預金口座には切り替えられません。 |
個人的には、将来的にもずっと決済用預金口座として使おうと考えている「銀行が破綻するかもしれないと思ったときにお金を退避させておく銀行」を1つ決めておくのが良いと思います。
銀行はたくさんありますから、決済用預金口座を元の普通預金口座に戻せないということであれば、別の銀行に切り替えれば良いだけです。
決済用預金口座が使えるネット銀行
一部のネット銀行で、決済用預金口座が使えます。
メガバンクや地方銀行と言った大手銀行でも、決済用預金口座の取り扱いはありますが、切替時に収入印紙代200円がかかる銀行が大半です。
しかし、ネット銀行であれば収入印紙代200円は銀行負担なので、無料で決済用預金口座に切り替えることができます。
GMOあおぞらネット銀行
申請方法
Webのマイページで「切り替えボタン」を押すだけの簡単申請。
切り替えのタイミング
申請の翌日から。
手数料(収入印紙代含む)
一切かかりません。無料で切り替えられます。
再び普通預金口座に戻せる?
一度、決済用預金口座に切り替えると、当月中は普通預金口座には戻せません。翌月以降に普通預金口座に戻すことはできますが、一度普通預金口座に戻すと、再び決済用預金口座には切り替えられません。
PayPay銀行
申請方法
Webから申込書をダウンロードし、本人確認書類を添付して郵送にて切り替えを申請。
切り替えのタイミング
申込書を受け付けた日の翌月1日から。
手数料(収入印紙代含む)
一切かかりません。無料で切り替えられます。
再び普通預金口座に戻せる?
戻せます。(回数制限の有無は案内なし)
▼決済用預金口座を提供していないネット銀行
楽天銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行は「取扱なし」との案内あり。
auじぶん銀行、セブン銀行、ローソン銀行は決済用預金口座の案内なし。(おそらく取り扱いなし)
イオン銀行は事業者向けの口座のみ決済用預金口座の案内あり。
管理人の視点
1,000万円以上の資産を持つ人にとって、「決済用預金口座」の存在は知っておいて損のない選択肢だと思います。
ただし、一部の銀行で「切り替え制限ルール」があることからも、銀行にとって普通預金口座から決済用預金口座への切り替えには手間がかかると推察されます。
いくら無料で切り替えられるとはいえ、頻繁に切り替えるのは銀行にとっても迷惑だと思いますので、普通預金口座として使う銀行と、決済用預金口座として使う銀行を分けるのがおすすめです。
決済用預金口座に切り替えてしまえば、財務体質が脆弱な(倒産リスクのある)銀行であったとしても、ペイオフのルールの基づき、預金は全額保護されるので安心です。
個人的には、普段は使わない銀行の口座を1つ、決済用預金口座に切り替えておき、いざ不況で銀行倒産の可能性が出てきたら、そちらの口座に資金を退避させる。という使い方が良いのかなと思います。
あわせて読みたい:
銀行の貸し金庫は「絶対安全」ではない 相続や災害で困らない使い方が大事