親子リレー返済の住宅ローンのメリットとデメリットまとめ
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住宅ローンには、親子リレー返済というプランがあります。
親子リレー返済とは、親子などの2世代で住宅ローンを返済するシステムのことです。
たとえば二世帯住宅で、父から子どもにかけて住宅ローンを返済する、などです。
親が高齢でも住宅ローンが組みやすいなどのメリットがありますが、デメリットも知って検討した上で申込むことをおすすめします。
目次
親子リレー返済のメリット
親子リレー返済を利用するメリットは、大きく分けて4点あります。
総じて、親にも子どもにもメリットがあると言えます。
親が高齢でも住宅ローンを組みやすくなる
住宅ローンには年齢制限があり、高齢だと住宅ローンが組めなくなります。
年齢制限をクリアしていても、高齢者になると支払い能力が落ちることなどから、住宅ローンの審査に通りづらくなるケースもあります。
親子リレー返済では、親子二人の年齢を考慮した審査になるので親が高齢でも住宅ローンが組みやすくなります。
たとえば、長期の固定金利型ローンが組める「フラット35」では、70歳以上だと住宅ローンに申し込めません。
しかし親子リレー返済の場合は、下記要件で借り入れが可能になります。
親子リレー返済とは、次のすべての要件にあてはまる方を後継者としていただく場合は、満70歳以上の方でもお申込みいただくことができます。
また、お申込みご本人の年齢にかかわらず、後継者のお申込時の年齢をもとにお借入期間をお選びいただけます。【親子リレー返済の後継者の要件(次の1から3までのすべての要件にあてはまる方】
1.申込本人の子・孫等(お申込みご本人の直系卑属)またはその配偶者で定期的収入のある方
2.借入申込時の年齢が70歳未満の方
3.連帯債務者になることができる方(1名のみとなります。)
このように、借入要件は親ではなく子どもの年齢を確認するようになります。
また、子どもだけでなく孫や配偶者も利用できることも明記しています。
返済期間が長くなる
親子リレー返済は子どもの年齢を考慮して返済期間を決めるので、返済期間を長くできるというメリットもあります。
返済期間が長くなると毎月の返済額を減らせるので、無理なく返済ができるようになります。
たとえば、上記で例に上げたフラット35で比較してみます。
フラット35は、80歳までに返済を完了しなければなりません。
なので親子リレー返済を利用する場合としない場合では、返済期間が下記のように変わってきます。
■65歳の親、30歳の子の場合
・親だけで返済をする場合
80歳-65歳=返済期間:15年
・親子リレー返済を利用する場合
80歳-30歳=50年→返済期間:最長借入期間である35年
※親子リレー返済でも、最長借入期間を超える長期プランは組めません
親が年齢制限より若い場合も、返済期間を伸ばして月々の負担額を減らすために、親子リレー返済を利用する人も多いです。
借入金額が増やせる
親子リレー返済を利用することで、借入金額を増やすことも可能です。
親や子どもの収入だけでは必要な額の借り入れが難しくても、親子リレー返済なら親と子の年収を計算して住宅ローンを組めるので、新居選びの選択肢が広がります。
このメリットを受けるため、実際は全て子どもが支払う予定でも、親子リレー返済で住宅ローンを借り入れる人もいます。
節税になる
親子で住宅を買う際、現金のやりとりではなく親子リレー返済の住宅ローンで購入すれば、贈与税の節税になります。
子どもが住宅ローンを組む際に、親が110万円以上の現金を渡すと贈与税がかかる場合があります。
親子リレー返済であれば贈与税がかからない上に、親子双方が申請すれば住宅ローン控除を受けることができます。
子どものマイホーム費用を親から支援する際も、親子リレー返済はおすすめです。
親子リレー返済のデメリット
一方、親子リレー返済には、もしもの際にデメリットになる点が3点あります。
住宅ローンの契約時にはメリットが多いですが、主に親の死亡時など「万が一」について事前に知っておくと安心です。
子が新たにローンを組めなくなる場合がある
親子リレー返済で子どもが返済中の時に、子どもが新たなローンを組めなくなる場合があります。
たとえば、子どもが独身の時に親子リレー返済を組んだ時です。
後に子どもが結婚して別居したとしても、親子リレー返済の義務は子どもに残ります。
基本的には、1世帯に1件の住宅ローンしか組めません。
なので子どもがマイホームを購入するとなっても、既に親子リレー返済のローンを組んでいる状況なので、自分のマイホーム用の住宅ローンが組めなくなります。
子どもが若い段階で親子リレー返済で住宅ローンを組む際は、注意が必要です。
団体信用生命保険に加入できるのは一人だけ
親子リレー返済の債務者は親と子の2人ですが、団体信用生命保険にはどちらか1人しか加入できません。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを組む際にほぼ全員が加入する保険です。
債務者が高度障害や死亡などで住宅ローンが支払えなくなった場合、残っている住宅ローンの返済をしなくてもよくなるという保険です。
残りの住宅ローンを団信が代わりに弁済してくれるので、万が一の際も自分の家に住み続けることができるので安心です。
加入するには、健康状態などの条件があります。
※ケガや病気は保証の対象外なので、これらに備える場合は住宅ローン用の保険に入る必要があります
親子リレー返済において団体信用生命保険のデメリットが出てくるシーンは、主に2点あります。
1点目は、子どもが団体信用生命保険に加入した場合です。
団体信用生命保険に子どもが加入+親子リレー返済を親が返済している間、親が亡くなってしまうと子どもが残りの返済義務をすべて負うことになります。
2点目は、保障の年齢制限です。
団体信用生命保険は、80歳で保障期間が終了します。
親が80歳になった歳、子どもが団体信用生命保険に加入するのを忘れたり、健康状態を理由に団体信用生命保険に加入できなかった場合は、子どもが引き続き保障を受けることができません。
その場合は、民間の生命保険などに加入することをおすすめします(→団体信用生命保険に入れなかった時の対処法)
相続問題になる可能性がある
親子リレー返済の住宅ローンで購入した家は、親が亡くなった場合は債務者である子が相続するのが一般的です。
もし子どもに兄弟がいた場合、相続権で揉めてしまう可能性があります。
親子リレー返済を利用する場合は、家族で相続についてあらかじめ話し合っておくことをおすすめします。
親子リレー返済を扱うフラット35
親子リレー返済は、民間の銀行ではメガバンクや地方銀行が扱っています。
しかし、より低金利でお得に親子リレー返済を行うのであれば、冒頭で例に上げたフラット35がおすすめです。
フラット35は、長期で固定金利型の住宅ローンを組めるプランです。
独立行政法人である「住宅金融支援機構」が、民間の金融機関と提携し、全国的に提供しています。
固定金利(※)なので返済スケジュールを立てやすく、繰上返済手数料や保証料が0円というメリットもあります(→フラット35のデメリットについて)。
フラット35は、申込時の年齢制限は70歳未満です。
しかし、親子リレー返済を活用すれば70歳以上でも申し込むことができるようになります。
さまざまな金融機関がフラット35を扱っていますが、年齢などの利用要件は共通です。
※固定金利と変動金利の違い
フラット35は固定金利のみの住宅ローンですが、住宅ローンには変動金利のプランもあります。
固定金利は完済まで一定の金利で返済を続けますが、変動金利は景気によって支払う金利が変わります。
変動金利プランは、金利が低い時は固定金利プランより支払額を安く抑えることができます。
しかし、景気変動によっては固定金利プランより支払額が増えるリスクも当然あります。
支払額が増えた時のためのリスクヘッジをした上で利用することが望ましいです。
フラット35を取り扱う金融機関の中で、低金利で評判が高いのはARUHI、楽天銀行、住信SBIネット銀行です。
ARUHI
ARUHIは住宅ローン専門の金融機関で、フラット35のシェアNo.1です。
金利が業界屈指の低さなので、住宅ローンの負担をなるべく減らしたい人におすすめです。
審査対応も早く、事前審査は最短当日中、本審査は最短3営業日で行ってもらえる場合もあります。
住宅ローンの審査には数週間かかるのが一般的な中、スムーズに契約まで進めてもらえます。
楽天銀行
楽天銀行では、自社独自の住宅ローンとフラット35の双方を扱っています。
フラット35はARUHIに続いて人気で、業界2番手と言われています。
返済口座を「楽天銀行」に指定すると金利が-0.3%になるので、楽天銀行の口座と合わせて利用することをおすすめします。
楽天銀行はネット銀行なので、基本的には申込みはネット上で完結できます。
しかし不安な場合は、スカイプでの相談も可能です。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行では、自社のグループである三井住友信託銀行のネット専用住宅ローンと、フラット35を販売しています。
住信SBIネット銀行の住宅ローンで1番のメリットは、全疾病保障に加入できることです。
自社住宅ローンは無料、フラット35も安い料金で加入できます。
一般的な疾病保障は、3大疾病のみだったり、多くても8大疾病保障が多いです。
団体信用生命保険でカバーできない病気をなるべく広くカバーしたいのであれば、住信SBIネット銀行がおすすめです。
