固定金利と変動金利、得なのは?違いを理解し、自分にあう金利タイプを選ぶ方法

タブレットと電卓を持つ女性

「金利が高いときは変動金利、金利が低いときは固定金利がおすすめ」という説が、今までは一般的でした。

高金利のときは金利低下を期待して変動金利を選び、低金利のときは金利が上昇しないうちに固定金利を選ぶと得、という考え方です。

しかし、超低金利時代が長く続く近年は、そうとも限りません。実際、ここ数十年は金利が低いにもかかわらず、「変動金利」を選ぶ人が約半数を占めています。

将来の収入の見通しや貯金があるかなど、家計状況に応じて金利を選ぶべきです。

今回は、固定金利・当初固定金利・全期間固定金利の違いを比較し、それぞれどんな人に向いているか解説します。

記事の最後には、金利変動対策として多くの人が行う、借り換えミックスローンの落とし穴についてもまとめました。

どの金利タイプがおすすめ?

変動金利・当初固定金利・全期間固定金利の違いを詳しく見る前に、結論から説明します。

それぞれの金利タイプがおすすめなのは、以下のような人です。

■変動金利がおすすめの人

  • 金利上昇に備える収入や貯蓄がある
  • 借入額が少ない、もしくは借入期間が短い
  • 金利のチェックを行える

■当初固定金利がおすすめの人

  • 返済開始直後の返済負担を抑えたい
  • 将来、収入が増える見込みがある
  • 固定金利期間中に繰上げ完済できる

■全期間固定金利がおすすめの人

  • 毎月決まった金額を返済したい
  • 金利上昇リスクに備えたい
  • 将来の収入や貯蓄が不透明

この時点で「自分はどの金利タイプが向いていそうか」を考えてみたうえで、各金利タイプの特徴を見ると、理解しやすいと思います。興味のある金利タイプから読んでもらっても大丈夫です。

変動金利

変動金利

変動金利は、半年ごとに金利見直しを行い、金利が上下するタイプです。

3つの金利タイプのなかでは、最も低金利です。金利が大きく変動しなければ、利息を少なく抑えられます。

金利が上昇して返済額が増えても対応できる貯蓄ができる人や、年収アップが見込める人なら、安全に返済できます。

しかし、変動金利を選んだからといって、すぐに金利が変わり、返済額が急増するわけではありません。

変動金利には、金利変更に以下2点のルールがあります。

  • 変動金利で返済額が変わるのは5年ごと
  • 5年ごとの返済額引き上げは、1.25倍まで

銀行は、半年ごとに住宅ローン金利を見直します。しかし、借り入れている人の適用金利が変わるのは、5年ごとです。

35年で住宅ローンを組むなら、最大7回まで金利上昇の可能性があります。銀行の基準金利が上昇しても、対策するための期間が最長5年あるので、それまでに家計を見直せます。

また、どんなに銀行の基準金利が上がっていても、返済額の増額は1.25倍という上限があります。

毎月5万円の返済中に金利が急上昇しても、次の金利見直し時の返済額は、毎月6万2,500円までしか増えません。

「変動金利が上がったら、次の金利適用までに固定金利に変更しよう」と考える人もいますが、現実的には難しい場合もあります。

変動金利が上昇すると、固定金利も上昇します。借り換えを検討したときには、固定金利も高くなっているのがふつうです。

変動金利中の返済額と借り換え後の返済額を比較し、借り換えによって返済負担が軽くなるか要確認です。

ためしに、以下の条件で変動金利が急上昇した場合、借り換えメリットがあるかどうか計算してみました。

■借り換えシミュレーション 現在の借入条件(仮定)

・ローン残高2,000万円
・残り返済期間20年
・変動金利「年0.5%」で返済中
・変動金利のままだと、返済額が1.25倍(上限)になると仮定

試算に使うツール:住宅ローン返済シミュレーター

上記の場合、借り換え後の金利が「およそ年2.9%未満」なら、借り換えたほうが月返済額が少なくなりました。

借り換え先の住宅ローン金利が年2.9%以上なら、変動金利のまま返済するほうがお得です。

金利(年) 毎月の返済額
0.5%(現在) 87,586円
1.5% 96,509円
2.5% 105,980円
2.8% 108,927円
現在の返済額1.25倍 109,482円
2.9% 109,921円
3.0% 110,919円

今より何倍も住宅ローン金利が高かった頃は、変動金利と固定金利の金利差も大きく開いていました。これから経済が上向いていくと、固定金利がより高くなる可能性もあると考えられます。

固定金利の金利上昇が大きいときは、借り換えないほうがお得な場合もあります。

■住宅ローンの金利推移グラフ
住宅ローン金利の推移

参考:フラット35「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」より

当初固定金利(固定金利選択)

当初固定金利型

当初固定金利型では、借り始めの一定期間に固定金利期間を設け、その後に金利タイプを選べます。

固定金利期間が終わった後、何も手続きをしなければ、変動金利に移行します。前もって手続きをすれば、もう一度固定金利も選べます。

銀行の公式サイトにある「当初3年」「固定金利特約10年」「20年固定金利」といった名前の住宅ローンは、当初固定金利型です。

日本では、当初固定金利のなかでも「当初10年固定」を選ぶ人が最多です。当初固定金利を選ぶ人の8割以上が、10年以上の長期固定金利タイプを選んでいます。

長期間、低金利で固定金利を利用できるのにメリットを感じる人が多いのだと思います。

当初固定金利の分布

住宅金融支援機構 公式サイト「2018年度 民間住宅ローンの実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第2回)」より引用

当初固定金利型のメリットは、固定金利期間中の金利が大きく引き下がる点です。返済開始直後の負担を大きく抑えられます。

固定金利期間中、変動金利と同じくらい低金利になる銀行もあります。

しかし、当初固定金利には、固定金利終了後は高金利というデメリットがあります。固定金利の金利引下げ特約期間が終わると、返済額が急増します。

10年後に学費負担が減る、退職金などのまとまったお金が入るなど、家計状況を確実に見通せる人に向いています。

当初固定金利は、固定金利期間が終わった後に変動金利を選んでも、「金利見直し上限は1.25倍まで」という変動金利ルールが適用されません。景況感によっては、返済額が大きく跳ね上がるリスクがあります。

固定金利期間中に完済するつもりの人なら、金利上昇リスクがないので安心です。金利が低いうちに繰上返済で完済すれば、当初固定金利のメリットのみを受けられます。

  • 当初固定金利は、固定金利期間中の金利が非常に低い
  • 固定金利期間後は、金利タイプを選べる(金利高め)

銀行の公式サイトでは、固定金利期間が終わったあとの金利の説明が少なく、少しわかりにくいと思います。私も最初はよくわかりませんでした。

当初固定金利として掲載している金利は、最も低金利な「固定期間中」の金利です。固定期間「終了後」の金利は載せず、基準金利からの引き下げ幅のみ掲載する銀行が大半です。

適用金利は、住宅ローンの基準金利(店頭金利)から、固定期間後の引き下げ幅を引いて計算します。

返済シミュレーションをするときは、あらかじめ固定金利期間後の適用金利を計算しておくとスムーズです。

基準金利2.8%、固定金利期間後の引き下げ幅-1.5%なら、固定金利期間後の適用金利は1.3%です(全て年率)。

当初2~5年といった短期固定金利は、一見、非常に低金利に見えます。しかし、引き下げ幅が小さい銀行だと、数年で返済額が増加して割高になります。

なるべく金利上昇を抑えたいなら、固定金利期間後の引き下げ幅が大きい金融機関を選びます。

通常の変動金利の引き下げ幅と、当初固定金利の特約期間後の引き下げ金利が同じ、もしくは近い住宅ローンがおすすめです。

疑問:「当初35年固定金利」とは?

銀行によっては、当初固定金利のなかで「当初35年固定」というプランがあります。

住宅ローンの最長借入期間は、基本的に35年です。つまり、35年間を固定金利にするというのは、実質は全期間固定金利と同じです。

「35年の全期間固定金利」もある金融機関では、多くの場合は当初固定金利型を選ぶほうがお得です。

全期間固定金利

全期間固定金利

全期間固定金利は、契約から完済までずっと同じ金利が適用されます。

返済計画が立てやすく、景気変動にも影響を受けません。一度借り入れれば、あとは金利を気にせず、安心して返済し続けられるのが最大のメリットです。

ただし、契約時点での金利は、変動金利や当初固定金利よりも高めです。特に、最も低金利な変動金利とは、年1.0%以上の金利差がある銀行も珍しくありません。

全期間固定金利がおすすめなのは、将来の家計が不透明な人や、貯蓄が難しそうな人です。

転職や独立によるキャリアチェンジや、共働きの妻が専業主婦になる予定があると、世帯収入が変わります。そんな際も、全期間固定金利なら、一定の返済額をもとに家計を組み立て直せます。

全期間固定金利を検討したい人は、公的ローンのフラット35がおすすめです。銀行が独自に提供する住宅ローンより低金利です。

フラット35

特に今は、新たに「保証型フラット35」という、さらに低金利なプランも増え始めています。

手付金(頭金)が用意できる人は、保証型フラット35を選ぶとより返済額を抑えられます。

近年は変動金利を選ぶ人が多い

金利タイプの推移
住宅金融支援機構 公式サイト「2018年度 民間住宅ローンの実態調査【民間住宅ローン利用者編】(第2回)」より引用

これら3つの金利プランのうち、ここ数十年は「変動金利」を選ぶ人が半分以上を占めます。

主な理由は、リーマンショックの影響が日本経済にも及び、住宅ローン金利がずっと低い水準だからです。

住宅ローンの金利は、物価や賃金などより遅れて変動するという特徴があります。そのため、しばらく景気が停滞しそうなら、変動金利でもずっと低金利で返済できる可能性が高いです。

しばらく金利は上がらないと予測できる状況、もしくは短期間で住宅ローンを完済する予定なら、変動金利がお得です。

借り入れ期間が長い人や、借入額が大きい人は、低金利な今のうちに全期間固定金利にする選択もありです。

借り換え審査に落ちるケースに注意

住宅ローンを計算するイメージ

住宅ローン返済中に「より低金利な変動金利にしたい」「金利上昇にそなえて、固定金利に借り換えたい」という状況になる可能性があります。

しかし、借り換えたほうがお得でも、借り換え審査に受からないケースがあるので要注意です。

住宅ローンの借り換えには、再度審査が必要です。新規借入時から収入や健康状態が変わっていると、借り換え審査に通らない可能性があります。

■住宅ローンを借り換えられない例

  • 病気になり団体信用生命保険に加入できない
  • 他の借り入れが増えている
  • 転職などで収入が落ちた

ほとんどの民間住宅ローンは、団体信用生命保険の加入が必須です。

団信は生命保険なので、健康状態の告知をします。現在の住宅ローン返済中に大きな病気をしていると、審査落ちになる可能性があります。

一般団信から健康条件を緩和した「ワイド団信」なら加入できるかもしれませんが、ワイド団信は住宅ローン金利が0.3%上乗せとなります。金利上乗せがあっても借り換えメリットがあるか、慎重に比較すべきです。

また、自動車ローンや学資ローンなど、住宅ローン以外の借り入れをしている場合も注意が必要です。

すべてのローンの年間返済額が、年収の2~3割を上回ると、審査に通らない可能性が高くなります。この割合を「返済比率」といいます。

返済比率

特に要注意なのは、住宅ローン契約者の年収が落ちている場合です。

年収が低いと、借り入れられる金額も下がります。新規借入時は問題なく借りられた金額が、借り換えだと審査落ちになる可能性があります。

たとえば、年収500万円の人が、自動車ローンと住宅ローンを毎月5万円ずつ、毎月合計10万円を返済しているとします。この人が年収が400万円以下になると、借り換え時に同額の審査に通らないかもしれません。

ミックスローンでリスクヘッジもありだが…

2つの家

変動金利と固定金利を半々で組む「ミックスローン」を申し込める銀行もあります。

ミックスローンを利用すると、借入金額4,000万円のうち、2,000万円は変動金利・2,000万円は変動金利、という組み方ができます。将来に金利が上昇しても、金利上昇リスクを半分に抑えられるメリットがあります。

一見、ミックスローンは、変動金利と固定金利のよいとこどりに見えます。しかし、個人的にはおすすめできません。

住宅ローンを2本契約するので、諸費用も2本分かかるうえに、思った以上に利息が膨らむケースが多いからです。その理由は、次の記事で解説しています。

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FP(ファイナンシャルプランナー)のライター。メガバンクとネット銀行の使い分け、投資、スマホ決済でのポイ活などで資産形成中。難しそうな金融の話を、わかりやすく解説します。

より良い情報をお届けするため、一条まつこ がメンテナンスを担当いたしました。(2019年8月22日 更新)

ありがとうございます。

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