フラット35で中古住宅の審査に申込めなかった話 年収以外の条件も要注意 

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家と電卓

公的な住宅ローン「フラット35」は、銀行住宅ローンとは利用条件が異なります。

年収の条件がないので、収入が少なめの人も利用できる住宅ローンといえます。年齢や返済比率が一定以下なら、審査に申込めます。

しかし、フラット35には申込者だけでなく、申し込む「住宅」にも条件があります。

今回は、フラット35の審査申し込み経験がある方にインタビューし、フラット35の利用で注意すべきポイントを見ていきます。

フラット35が利用できなかった結果、どのように住宅を購入できたかも伺いました。

フラット35の申し込み体験談

フラット35の利用を検討した経験があるAさん(仮名)に、取材しました。

不動産会社を通してフラット35に申し込む予定でしたが、途中で審査に申込めないと判明したそうです。

インタビューイメージ

■Aさんプロフィール

年齢:20代
職業:フリーランス
購入住宅:中古住宅
借入金額:640万円(住宅費・諸経費込み)

不動産屋からフラット35を紹介

一条(筆者):フラット35に申し込もうと考えたきっかけは何ですか?

フラット35利用のきっかけは、不動産屋さんに勧められたからです。それまでは、フラット35という住宅ローンがあると知りませんでした。

会社員ではなくフリーランスで仕事をしているので、住宅ローンを組めるか不安でした。そこで「フラット35なら申し込める」と聞きました。

不動産会社の担当者の方に教えてもらいながら、審査書類も用意していました。

一条:確かに、フラット35は職業や年収の条件がありません。個人事業主や自営業の人もよく利用する住宅ローンです。

対して、銀行の住宅ローンの多くは、「会社員であること」を原則条件としています。フラット35以上に、安定収入を重視する傾向があるといえます。

フラット35の申し込み条件とは

フラット35の申し込み条件は、以下3点のみです。

■フラット35 申込者の条件

  1. 申し込み時に満70歳未満
  2. 日本国籍、もしくは永住許可を受けている人または特別永住者
  3. 返済比率が30~35%以下

※借り入れ対象の住宅が共有名義の場合は追加条件あり。

フラット35は、返済比率を重視する独自の基準があります。

返済比率とは、年収に対して住宅ローン返済額が占める割合です。返済比率が高いほど、収入の多くを返済にあてているので、返済の負担が大きいといえます。

フラット35は、一般的な銀行より返済比率が高めの人にも融資を行っています。年収が低くても、返済比率が基準以内なら申し込める可能性があります。

参考記事:契約社員や派遣社員、そして自営業がフラット35を選ぶ理由

床面積が足りないと判明

一条:フラット35の審査書類を用意していたということは、申し込みの準備中に利用できないとわかったのですか?

はい。不動産屋さんから連絡が入って、延べ床面積が足りずフラット35に申込めないとわかった、と言われました。

以前住んでいた人が、減築した際に登記へ記載していなかったそうです。

家の前で小さなお店をしていたらしいんですが、お店を畳んで住宅が狭くなっていたんだとか。

一条:登記漏れとなると、気づくのが遅れたのも納得です。

フラット35で中古住宅を買う際は、「フラット35の技術基準をクリアしているか」を検査機関に調べてもらう必要があります。その際に判明したのかもしれません。

フラット35の「住宅」の条件

フラット35には、申込者の条件だけでなく、借り入れる住宅にも以下の条件があります。

■フラット35 借り入れ対象の住宅の条件

  1. 住宅金融支援機構が定める技術基準をクリアした住宅
  2. 住宅の「床面積」が70㎡以上(マンションなどは30㎡以上)

一条:フラット35の住宅条件「70㎡の家」とは、一般的に4人家族が住むくらいの広さです。2階建ての一戸建てなら、リビング・キッチン以外に2~4部屋は作れます。

当日はAさん宅でインタビューをしましたが、ふつうの一戸建て住宅という印象でした。私は狭いとは感じなかったです。

私もまさか、面積が原因でフラット35に申し込めなくなるとは思いませんでした。

フラット35は公的ローンなので、一定の生活水準を満たせる家を買う支援をするために、面積条件があると聞きました。

一条:国としては、多くの人がよい住環境で暮らせるようにしたいという思いがあるのかもしれませんね。

予算を抑えた家探しで、住宅ローンに申し込めなくなるとは思っていなかったので、驚きました。

将来また引っ越す予定があるので、今回買う住宅は最低限の費用で抑えるつもりでした。

一条:Aさん以外にも、フラット35の面積条件を満たせない人は多いかもしれません。

信用金庫で再申し込み

ミニチュアの家と印鑑

一条:フラット35に申込めなくなったあとは、どのように対処しましたか?

不動産屋さんが、地元の信用金庫に交渉してくれました。おかげで、信金で住宅ローン審査に申し込めました。今まで取引をしたことがない信金です。

ただ、やはりフリーランスで働いている点や、年収がネックになったようです。親との収入合算で申し込みましたが、以下の条件付き融資となりました。

  • 火災保険料の一括払い
  • 公共料金の引き落としを2件以上する
  • 給与振込口座に指定する

一条:手付金(頭金)の支払いが条件になるケースはよくあります。しかし、火災保険料の一括払いは初めて聞きました。

返済期間10年で契約したので、10年分の保険料を一括払いする必要がありました。

すでに家財処分や引越しの費用が20万円ほどかかっていたので、さらに大きな費用がかかるのは痛手でした。

一条:10年分の火災保険料を支払うとなると、10万円はかかると思います。思わぬ出費としては、安くはない金額です。

火災保険料の支払いには、すぐに対応できましたか?

火災保険料はクレジットカード払いにさせてもらい、3回の分割払いで何とか支払いました。

分割手数料はかかりますが、家計負担を抑えるのを優先しました。

一条:よい対処法だと思います。クレジットカードの分割払いは、リボ払いより手数料が低めです。

ちなみに、収入合算をした親は、給与振込口座の変更に苦労したみたいです。

勤め先は給与振込口座を原則変更できないらしく、最初は断られたと言っていました。

一条:銀行住宅ローンでは、「給与振込口座への指定」という条件はよくあります。

給与振込口座を統一している会社だと、口座変更をいやがる場合もあるようです。口座変更が長引くと、住宅ローンの契約手続きも止まるので困ると思います。

住宅ローンに融資条件がつくケース

地方銀行や信用金庫は、なるべく多くの人に住宅ローンを利用してもらうために、条件つきの融資を提案するケースがあります。

銀行や信用金庫は、公的ローンのフラット35以上に、貸し倒れリスクに敏感です。収入や職業の条件が厳しいのも、リスク回避のためです。

今回のAさんのケースでも、信用金庫は貸し倒れリスクを抑えたかったのかもしれません。

はじめに少しでも多くの手数料を支払えば、万が一返済できなくなっても損失を減らせます。

取引の長い銀行があると住宅ローンを組みやすい

通帳

一条:ほかにも、不動産会社の担当者からアドバイスをもらったり、手伝ってもらったりしましたか?

住宅ローンのような大きな取引に備えて、「銀行で担当さんを作っておきなさい」とアドバイスいただきました。

長く取引をしている銀行があれば、住宅ローンなどの相談もスムーズにしやすいみたいです。

一条:たしかに、銀行は住宅ローンの融資を行う際に、今までの取引もチェックします。

地方銀行や信用金庫に、いつも相談や手続きをしてもらう「担当さん」がいると、交渉が必要なときに助かるケースもあります。

実は、不動産屋さんからフラット35を紹介される前にも「長年使っている銀行があれば、そこの住宅ローンを使うのはどうか」と提案を受けていました。

学生の頃から使い続けている銀行口座は、持っています。でも当時は、フリーランスだと銀行住宅ローンを借りられないと思っていたので、フラット35で融資を受ける方向で考えました。

一条:結果的には、無事に住宅ローンを組めたようでよかったです。お話を聞いていると、不動産屋さんが丁寧にサポートをしてくれたようですね。

信用金庫への交渉だけでなく、住宅ローンの書類準備なども細かく教えてもらえて助かりました。

住宅ローンの書類は種類が多くて準備が大変でしたが、何を用意すればいいか都度教えてもらえました。

一条:きめ細かいケアは、地元の不動産屋ならではのメリットですね。

銀行が住宅ローン審査時に見るポイント

銀行の住宅ローン審査が有利になる可能性がある取引は、給与振込やローンなどです。

給与振込は、毎月まとまった金額が口座に入るので、まとまった金額の取引をしているとみなされます。

ローンは、遅延なく返済をしていれば「計画的に資金繰りができる人」という証拠になり、住宅ローンでも評価されるケースがあります。

ある地方銀行では、「学資ローンなどを利用していると、将来のために計画的にお金を使える人だと判断できる」と説明している人もいました。

フラット35が使えなかったら

ミニチュアの家

Aさんは、前住人の登記漏れでフラット35に申込めない、珍しい体験をされました。

フラット35の面積条件を知らない人も多いかと思います。コストを抑えて家を買いたい人は、「一戸建ては70㎡以上、マンションは30㎡以上」という条件を知っておくと安心です。

面積の条件を満たせば、フラット35はさまざまな職業や年収の人が申し込めます。

特に、固定金利に魅力を感じる人は、フラット35が向いています。全期間固定金利の住宅ローンのなかでは、フラット35が突出して低金利です。

万が一、フラット35が利用できない場合は、すでに取引のある金融機関地方銀行信用金庫で相談をします。

特に、長年利用している銀行は、相談に応じてくれる可能性が高いです。担当者と関係性ができているのが望ましいですが、取引実績があるだけでも強みになります。

窓口で事情を相談し、仮審査を申し込んでみるのをおすすめします。

もしくはAさんのように、地方銀行や信用金庫を検討するのも手です。メガバンクより、融資に積極的な金融機関が多いからです。地銀や信金は、大手銀行より柔軟に対応してもらえるのがメリットです。

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。元は貯蓄下手だったが、現在は貯金や資産運用を自動化し、着々と資産形成中。メガバンクとネット銀行の使い分け方にはこだわりあり。

より良い情報をお届けするため、疾風AI がメンテナンスを担当いたしました。(2022年4月13日 更新)

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